File No.046Chic S.Sさん work:広告制作会社ディレクター

インテリア選びや散歩が趣味に。
自分が変わるリノベーションライフ。

オフィス街が広がる静かなエリアに、Sさんの住む「Chic」の部屋はあった。

玄関から伸びる表情豊かなヘリンボーンフロアは、唯一無二の存在感と上質感を生み出している。
ヨーロッパの家具をコーディネートしたような収納スペースに加え、ドアノブなどには真鍮を使ってアクセントに。
エレガントで優雅な空間を演出している。

贅沢な要素を詰め込んだ部屋の窓からは開放的な景色が広がっており、最高の物件だ。

「部屋を見た時、『フランスのアパートみたいでお洒落』だと思い一瞬で入居を決めました。壁が真っ白で、部屋が広く見えるのもすごく気に入ったので…。」

大学生のころ、ドイツ一周を含むヨーロッパ旅行をしたSさん。
パリでは一か月間アパートを借り、パン屋めぐりなどを楽しんだ。
そんなSさんが「パリのよう」と感じられるほど、「Chic」の部屋は徹底した非日常的コンセプトのもと細部まで造り込まれている。

Sさんは、もともとの部屋の雰囲気を崩さないよう、小物・家具なども好きな黒やグレーの色で統一するように心がけている。
これまで以上にインテリアに興味がわき、休みの日にはインテリア雑貨のショップめぐり散策をするようになった。

部屋のコンセプトや魅力を心の底から理解し、住みこなしているSさんはまさに部屋と相思相愛の関係。
お互いを高めあう最高のパートナーとなっている。

収納スペースの多さも決め手のひとつだった。玄関先は機能的にスッキリと、クローゼット内は手持ちの机などを使ってスペース効率を最大限に利用。フレンチ感のあるクローゼット扉は家具調なので、閉めれば部屋の雰囲気とよくなじむ。

玄関部分の白い壁も、見せる収納として活用。帽子と鞄、趣味であるカメラなどをセッティングしておけば外出時にすぐに身に着けられる。バス・トイレは独立型で、脱衣所上の棚も箱などを活用して見せる収納に。どこをとってもセンスがいい。



とにかく上質な部屋に。
環境から自分を変えていく。

「せっかく広告会社に入ったのだから、住む部屋や感性も トレンドの最先端でいたい。つねにスタイリッシュな世界観でいられるよう意識して暮らしています。」

自身の身を置き、日々暮らす生活空間だからこそお洒落な演出を施し意識を高く保つ。
そうすることですべてにおいて感性が磨かれ、暮らしぶりから仕事ぶりまでまるごと「広告人」としてふるまうことができる。

また、現在は部屋でパソコンを使いリモートで上司や仲間とミーティングをする機会が多く、
それぞれのメンバーの自宅の様子がバックに映り込むなど、他人の暮らしぶりを目の当たりにすることができる。
そのたびに仲間から「イチから好み通りに造り込める部屋なんてうらやましい」と言われたりもする。

Sさんの会社の先輩や同僚の部屋だって、それぞれみんな個性的でお洒落でこだわりもひとしお。
お互いにインテリアの情報交換をしたりと刺激になることも多い。
そんな仲間たちからもらう「うらやましい」という称賛の言葉はなんだかくすぐったく、優越感もあるという。

家具、小物、雑貨、生活必需品などすみずみにわたるまで独自のセンスが光る部屋。
スタイリッシュな在り方そのものを部屋にまるごと映し出すなんてものすごい上級技だし、絶対にお手本にしたくなる。

奥行がたっぷり確保されたキッチンは、使い勝手がとても良い。大好きな紅茶を入れるだけでなく、最近ではピザ生地をこねて自分で作ったりする。手のこんだ料理作りに目覚めてしまうという、劇的なまでのライフスタイルの変化。

時間があるときは、ネットで好きな映画をずっと見ている。「ヒトをダメにするクッション」に沈みこみ、とことんぼんやりすることは自分をリセットする大切な儀式のひとつ。



仕事がしやすい。アイディアが沸く。
部屋のチカラが発揮される。

オフィスへ通勤せず自宅での作業やリモートワークがメインとなっている現在のSさん。

ずっと部屋で仕事をしていると、プライベートタイムとワーキングタイムのオンオフ切り替えが難しくなってくる。

「出社や外出をひかえている間に、ワーキングデスクに合わせて長時間座っていても疲れないようちょっといいチェアを買い、さらにキッチンとの間にモノ置き棚を作りました。この棚がちょうどいいゾーニングになってより仕事に集中できるようになったんです。」

また、ヘリンボーンのフローリング床や壁の色が明るいのでずっと部屋にいても気分が落ち込んだりせず、心地よく過ごすことができる。
仕事と生活の空間が同じだとマイナスの要素が多くなりがちだけど、ここにはそんなものは一切ない。

よいアイディアが沸き出し、満足のいく作品を生み出すことができる環境はなによりも最高だ。

Sさんの実家はオフィスへも通勤圏内で、眠るためだけに帰るならこれまで通り実家暮らしでも特に問題はなかった。
けれど仕事を機に一人暮らしを始め、環境ごと生活を変えた。
そしてSさんが実を置く部屋を魅力あふれる空間に仕上げることで家族全員を安心させることにもつながった。

良い環境づくりがヒトをより良く変える好循環。
改めて強く感じさせられたSさんの部屋だった。

本来は用途の違うキッチンワゴンやプラスチックカップを、ワーキングスペース周りをスッキリさせる収納アイテムに。発想のやわらかさが、心地よい空間をつくるための大きな動力となる。

裸足で歩くと最高に気持ちが良いヘリンボーンのフローリング床、大好きなお酒などのボトル。すべての存在が癒しであり愛おしい。すみずみまで五感でじっくり味わい楽しめるポイントが満載。

Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Yoshinori Tonari