下町情緒が色濃く息づく、都内某所。
「カフェ部屋」というテーマで作られた「iCafe」は、地元コミュニティを楽しむスタイルにおすすめの物件。
部屋の真ん中に位置するオリジナルのカウンターキッチンと経年劣化が楽しめる足場板の床が、オンリーワンの個性を発揮。
窓辺には自由に使えるオープンラックを用い、収納スペースとしても使いやすい設計。
「部屋を見た時の第一印象は『普通と違う!』でした。生活になじみやすい素材を使っているなあ…と。足場板を使ったフローリングなんて特に、リノベーションだからこそできる技ですよね。」
Kさんはずっとこの街に住んでいたが、以前の住居は建物の老朽化により立ち退きを余儀なくされた。
新しい物件を探していた際に、この部屋と巡り合った。
「好きなのは、『使い込んだ味わいのある空間』。仕事が忙しいけど、住みはじめたらできるだけ早く自分好みの部屋にしたかった。ただ、イチから深い味を出すためには時間もお金もかかって大変。その点この部屋は、もともとの素材や造りがすでになじみ感を持っていたのでとてもやりやすかったです。」
現在の形にするまでにかかった時間は、なんとたったの二週間。
短時間でここまでクオリティの高い空間ができるとは…!
Kさん夫妻がこの部屋に住み始めてから、今年で3年目。
パーフェクトな完成形から、さらに3年の年月を経てますます深い味わいをたたえ、夫妻の暮らしにじっくりとなじんでいった。
それでも二人の頭の中には、まだやりたいこと、素晴らしいプランがあるという。
いったいこの部屋はどこまで進化していくのだろう。
「部屋の中心にキッチンカウンターって、イイですよね。夫婦二人でキッチンに立つと、気分転換だけでなく素晴らしいコミュニケーションにもなります。」
お互いにこの部屋が好きで、この空間で暮らしたい。
そんな想いが重なって結婚したKさん夫妻。
ハイセンスな二人はお洒落な部屋とうらやましいくらいマッチしている。
調味料類をセンスよく機能的に収納できるスパイスラック、ムーディに灯るペンダントライト。
さらにスタイリッシュな水栓など、カウンターキッチンまわりも元々の造りがシンプルかつ機能的で美しいから、あとは少しだけ自分仕様に手を加えるだけ。
使いやすく、まるでカフェのような美しいキッチンに仕上がった。
近所にあるコーヒー豆専門店でお気に入りの一品を見つけ、豆から挽いて丁寧にいれるコーヒーから二人でチカラを合わせて作る料理まで、肩を並べて共同作業するひとときが最高、と語る夫妻。
生活の質がぐっと上がるキッチンカウンターが、この家の主役と言っても過言ではない。
「この部屋は二人で暮らすには若干狭いかもしれないが、帰宅するたびに感じる解放感はとても大きくて。部屋の狭い広いだけが心地よさじゃないんだな…と改めて気づかされます。」
キッチンカウンターだけでなくどこもかしこもお気に入りの空間は、居るだけで幸せを感じる極上の場所なのだ。
広い白壁と高い天井が自由な解放感を演出しているiCafe。
天井はコンクリートやパイプなどが剥き出しのいわゆる「躯体あらわし」となっているため、そのぶん空間に高さを持たせることができる。
備え付けの収納などもあえてつけておらず、ともすれば不自由ささえ感じてしまうワンルーム形式の部屋。
それでも不自由さが「余白」となり、かえって自由に大胆に手を加えることができる。
たとえば剥き出しの躯体を利用してS字フックで洋服掛けを作ったり、装飾品を吊るしたり。
さらに照明のチョイスひとつによってコンクリート天井の表情ががらりと変わったり…とできること、楽しみ方の選択肢もだんぜん増える。
そんな「不自由から生まれた自由」が、Kさん夫妻はたまらなくうれしくて好きだと言う。
家具にお金をかけるより、部屋にお金と手間をかけたい。
部屋に置くモノは厳選し、本当に必要なものだけを。
部屋に合わせて住もうとすると、おのずとモノも減っていく。
そうすれば掃除もラクになる…と、良いことづくしだ。
棚ひとつとっても機能に多様性を与えれば、何倍もの使い道ができていく。
無限に広がる可能性が満足度の高さにつながり、素敵な連鎖が止まらない。
Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Yoshinori Tonari
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