お洒落なリノベーションカフェが軒を連ねる街にひときわハイセンスな場所が存在している。
「Anti」は、まるで洋館の一室のような造りの空間でぼんやりと灯る乳白ガラスの灯りがムーディーな印象。
コンクリートにあしらったアンティーク調の木の腰壁が品の良いアクセントとなっている。
個性的でノスタルジックなデザインの部屋には扉付きクローゼットや独立洗面台も完備。
なにかとモノの多い女性にとっての使い勝手も申し分ない。
「ずっとリノベーション賃貸に住みたくて。REISMさんではTeidaかAntiで迷っていたけれど立地の良さなどからこのAntiに決めました。部屋の造りにすごいこだわりを感じたし床がダークトーンだったのが一番の決め手でした。」
床板には染色した無垢材を使っているため落ち着いた色味と質感を実現。
照明の形やドアノブなど金属の素材感など、細部までこだわり抜いた設計となっている。
もともと自分が持っている家具と、部屋の床などの質感は絶対にマッチするはず。
そんなYさんの的確な判断と豊かな感性によりラグジュアリーな空間へと仕上がった。
古き良き時代へタイムスリップしたような懐かしい心地よさに、思う存分浸ることができる。
手作りの刺繍作品、色とりどりの糸、額縁とドライフラワー、パンフレットや写真集などなど…。
本当に気に入っているモノたちだから上手に見せながら収納したいというYさん。
コンクリートの壁という大きなキャンバスの中に配置されたモノたちは、美しい構図の一枚の絵画のよう。
そして箪笥などの家具類は、額縁のようにキャンバス空間をまとめて引き締めている。
入居の際に、引っ越し業者も「家具が部屋にぴったりですね。」と驚いたという。
「経年変化の味を持つモノが大好きで。この部屋は最初から味わい深い造りだから住み始めた瞬間からもう最高でしたよ♪」
Yさんがここに住み始めてまだ一年足らずだが、住みこなしぶりはすでに熟練クラス。
部屋の特性をどこまでも活かしながらも見事に自分の色に染め上げている。
「上手に住みこなせるのは、この部屋だからこそ成せる技。ここはきっと住む人によって和風にも洋風にも全く違う色に成り得るでしょうね。」
とはいえ、住む人と部屋の相性が合わなければここまで完璧な絵画のような世界にはならない。
やはり住人と部屋の二人三脚の息が合うほど美しく特別な空間が生まれるのだろう。
訪れた友達はみんな口を揃えて「こんな部屋初めて見た!」と言い合い感動しきりだという。
そんな嬉しい言葉を聞くたびここに引っ越してきて本当に良かったと心底感じるという。
Yさんのライフスタイルはこの部屋から劇的に変わっていった。
「こんなアイテムが欲しいと思ったら、自分で作っちゃいます。 気になること、やりたいことがあったらすぐに実行するタチなので趣味はめちゃくちゃ多いです(笑)」
9年ほど前にアトリエに通いはじめ刺繍を習い、以来たくさんの作品を生み出しているYさん。
刺繍のほかにも、糸から作る編み物、クラシックバレエ、ヒップホップダンス、ベリーダンス、登山、ダイビングなど驚くほど多方面の趣味を持つ。
さらに最近ではカレー屋をやっている友達の影響でカレー作りに目覚め、リモートによる長い家時間を利用しキッチンに立ちカレー作りに没頭しているという。
仕事も趣味も、部屋でやることは尽きない。
それでも、居心地が良すぎて部屋に居られる時間が最高に幸せだというYさん。
ていねいにじっくりと糸を紡ぐように部屋で過ごす毎日が、とても充実しているみたいだ。
そんなYさんにとって部屋とは?と問うと素敵なモノだけに囲まれて暮らす、本物の「趣味部屋」だと断言する。
誰もがあこがれる、理想的なライフスタイルと部屋のカタチ。
好きなことへの情熱があればいつかは実現するのだと改めて気づかされる。
Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Hiroshi Yahata
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