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File No.029Doma M.Nさん work: 建築系

中間地点でガラッと世界が切り替わる
「土間」にあこがれて。

部屋にある梁を土間のデザインに活かし、素材本来の魅力が存分に感じられるリノベーション空間「Doma」。

「夢中で部屋探しをしているうちに、この理想の部屋が見つかったんです。せっかくの一人暮らしだし、とにかく普通の部屋はいやだったので。」

M.Nさんは、「自転車を手元に置きたい」という一心からウェイティングで機会を待ち続け、ようやくこの部屋に入居することができた熱心な「Doma」ファンだ。

江戸情緒が今でも残る街によく似合う「Doma」は、その名の通り古きよき日本家屋の土間を再現した造り。小上がりの琉球畳の下には大きなスライド収納、脇にはクローゼットを設置し、居室は広々とした奥行きを確保。ひとつの部屋なのに、カラーの違う二つの部屋が同居しているよう。

さらに土間の上窓から見る外の景色は、抜群の解放感。近くには調理道具で有名な合羽橋道具街があり、下町文化の生きる街とともに粋なライフスタイルを体感できるモダンな空間となっている。

通勤などの利便性や立地条件よりも、「土間の部屋に住みたい!」とにかく土間の部屋ひとすじだったM.Nさん。希望が叶い2017年10月に入居して以来、部屋のカスタマイズに没頭する日々。

M.Nさんは二級建築士とインテリアプランナーの資格を持っており、快適な住空間を創り上げる能力もまるで玄人はだし。インテリアと実用性を兼ね備えた棚は、自身で材料を工面し数日間かけて作ったもの。世界にひとつだけの自分専用棚は、土間と小上りをまたいで作られており、どちらからも気軽にモノを取ることができる。ラフな土間と上質な小上りのふたつの異なった世界を結び付けているようだ。

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実家から持ってきた本棚とソファベッドが、サイズも雰囲気も見事なほどぴったりと空間にハマった。全体のインテリアは、ここを中心に考えて行った。

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とにかく自転車をタテに置きたかったから、土間は理想のスタイル。自ら作った棚も、一面だけコンクリート打ちっぱなしのラフな質感にとてもよく似合っている。


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畳の上でくつろぐ、大切なリセット時間。
心のオンオフが上手に切り替わる。

「インドアが好きなので、わりと部屋の中で過ごすことが多い。この部屋では、土間と小上りの間の段差が好き。なんだか切り替わるので…」

部屋で過ごす日、M.Nさんの時間はとても楽しい変化に富んでいる。自転車のトレーニングをする時などは土間で、読書や仕事に没頭する時や、リラックスする時は畳の小上りで。ライフワークにとりくむ場所と視点を変えることで、気分もオンオフモードも切り替わる。ワンルームの限られた空間なのに、こんな贅沢なシフトチェンジができることって、そうそうない。

「友達が来た時なんか、『なんで土間なの!?』っていう反応がとても面白いんですよ。」

以前からマンションのリノベーションという分野に、とても興味があるというM.Nさん。

一面だけコンクリート打ちっぱなしの技法は自分でもやるだろうな。施工時の躯体への指示書きを活かしたり、スイッチ部分をあえてむき出しにしたり。異素材を組み合わせることもアクセントになるな…。など、仮に自分が施工に携わったとしたらこの空間をどうするか?というイマジネーションをどこまでもふくらませることができた。

暮らしているだけなのに、イメージで思いきり遊べて未来への夢まで描ける。この部屋での暮らしはM.Nさんにとって、何よりもかえがたいものだ。

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小上りの清涼感あふれる琉球畳は心地よく、寝ころぶにも仕事をするにも最高。持ち運びしやすい小さめのテーブルを、時には畳の上に置いて仕事に没頭することも。

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コレクションの時計を飾るのも、衣服を収納するのもベストな置き場所を考える。自分だけのためにカスタマイズされた贅沢なスペース。


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「ここには、暮らしを充実させてくれる
リノベーションが存在します」。

M.Nさんのライフスタイルは、まさに自身の言葉を体現している。さらに、この部屋の醸し出す、いわゆるリアルな「現場感」が彼の建築士としての感性を落ち着かせ、刺激するのだからまさに1000%充実した暮らしと言える。

「土間」という部屋のコンセプトが明確なので、最初から完璧な世界が出来上がっており、余計なモノは一切いらない。ただ、必要最低限のモノを置くだけで絵になってしまう凄さ。

「だから、モノを買う時はできるだけ長く使うことを考える。余計なモノは床にも畳にも絶対置きたくないんです。」

掃除用具、本棚、テーブル、ソファなどは以前から使っていたものだし、M.Nさんがこの部屋に来て新たに買ったものは洗濯機ぐらい。徹底してミニマムな姿勢にこだわっているものの決して閑散として見えず、むしろ秘密基地のような心地よい空間バランスを保っているのは、部屋の持つ底力と住人のセンスによる合わせ技。

プロの目線で冷静に判断しても、「土間」はとても良くできている、とM.Nさんは言う。だからこそこの部屋の魅力を魅力をとことん理解し、最大限に活かすことができる。

「古い家屋が増える分、これからリノベーションの分野はどんどん伸びていきますよ。なんだか楽しみですね。」

REISMのマインドを心底理解しているM.NさんがREISMの物件に暮らすというまさに理想形が、いま、ここでリアルに営まれている。

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掃除をする道具、料理をする道具。生活必需品すら何かしらのテーマを持ったオブジェのように見えてしまう、上質な空間のチカラ。

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自転車のトレーニングに集中することも、友人と語り合うことも。この部屋は、日常的な出来事すらすべてハイグレードに昇華してくれる。

Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Yoshinori Tonari