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File No.032blanc I.Cさん work: 食品会社 企画

リノベーション賃貸に憧れて。
真っ白いキャンバスに描く、自分だけの景色。

日常の通勤・通学にも便利な街の駅から歩いてすぐの場所にある、白を基調としたヨーロピアンテイストなリノベーション空間「blanc」。ディテールにこだわったピュアホワイト一色の空間には、L字型キッチンに石のタイルが敷かれ、お洒落で落着くだけでなく、コンパクトながらも生活しやすい空間に仕上がっている。

「もともとREISMさんの存在は知っていました。こちらで手がけているリノベーション賃貸に憧れてて。本当はもっとごつごつしたラフな部屋のほうが好きでしたが、手持ちの家具がblancにぴったりだと思ってここに決めたんです。」

特に決め手となったのはキッチン棚の使い勝手の良さ。モノをただ吊るすだけ、置くだけでお洒落になるディスプレイのしやすさがとても気に入っている。

「以前の部屋は、好きなモノを色々と詰込み過ぎました(笑)。」

雑誌に取り上げられたというI.Cさんの以前の部屋。写真を見せてもらうと若干古いアパートながら、押し入れなどを有効活用してモダンにセルフリノベーションした工夫あふれる空間だった。

blancへの引っ越しを機に、要らないモノを減らし、増えてしまったお菓子の型などはブリキ缶などに入れて「隠す収納」でインテリアの一部のように配置。前の部屋から持ってきたという大きな白い棚は、奥だけでお洒落なディスプレイのように魅せられるので効果絶大だった。

部屋のキャンバスが真っ白な分、思う存分好きな配置や構図、インテリアにこだわることができた。

「あくまで趣味でやっていた」といいながら一時はパティシエールまでしていたというI.Cさん。独学ながらお菓子やパン作りの技を見事に極めていた。そんなI.Cさんだからこそ、生活のメインテーマは「美味しい食」。どのシーンをとっても美味しそうなイメージがわく部屋は甘くやわらかい印象のI.Cさんの人間性そのものだった。

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一日中でも居られるというキッチン周りには、よく使うモノをまるでオブジェのように配する。スタイリッシュさと機能性のパーフェクトな両立技。

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パンやお菓子を作る際の作業スペースにちょうどいい、ワゴンとアンティーク調のデスク。引き出しには道具がたくさん収納できるうえ、白い部屋にぴったりフィットするウッディな温かい質感。


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テイストを揃え、作業スペースを増やす。
限られた空間でも、工夫次第で広く心地よく。

なるべく黒やグレーなどのモノを置くことで色も散らかさず、統一感を持たせる。小物などの色は、アクセントとして散らす。

部屋と同じ白&ナチュラルウッドの家具を用い、作業スペースとして活用することで空間をマックスに活用する。

自分ルールを徹底して守り多彩な工夫を織り交ぜた結果、ワンルームながら空間をすっきり広く見せることに成功。部屋で集中してできる作業が増えて、毎日がより楽しくなった。

「とにかく料理やお菓子作りが大好きで、ほとんど一日中キッチンに居るほどなので、一瞬『キッチン』の部屋にも住みたいと思いました。けれど、この部屋でも十分料理は楽しめます。ここへ越してきて改めて「ちゃんと料理しよう!」と思い直したくらいですから。」

趣味でもあり仕事にもなった「食」だけに、転職したての会社で任せられた仕事の予習はこの部屋で集中して行う。I.Cさんのライフスタイルの変化は、とても著しかった。

友達が遊びに来るたび、みんな大喜びで写真を撮りインスタグラムにアップしてくれるという。いわゆる「インスタ映え」もバッチリの明るく白い部屋は、光彩を添え女性をキレイに見せてくれる側面も。

住むだけで女子力が上がる部屋、というのはとても貴重なもの。住人と部屋が織りなす相乗効果は、これからもいっそう美しく進化していくことだろう。

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大好きなお菓子の型やマスキングテープのコレクションは、気づけばものすごい数に。せっかくなのでショップのようにキレイに並べて見せる。蓋つきのホーロー缶は優秀なディスプレイアイテム。

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以前住んでいた家から持ってきたアンティーク調の白い棚には、お気に入りのモノだけを詰め込んで。自分で描いたオリジナルレシピボードも、部屋の雰囲気にとてもよく合いお洒落なインテリアになっている。


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部屋を創る時に意識したのは「ストーリー性」。
物語を感じるような空間にしたかった。

真っ白いクリーンな空間ではあるけれど、REISMのリノベーションの特長であるコンクリート直塗りした塗装や躯体むき出しの箇所など。部屋のあちこちに見られるちょっとした「スキ」をI.Cさんは大好きだと言う。

「あえて壁をボツボツにしてあるところとか、こうした面白さもこの部屋を気に入った理由のひとつです。なんだか想像力がかきたてられるっていうか…。」

I.Cさんが暮らし部屋を創るうえで、「ストーリー性」はとても重要なもの。独自の世界を大事にし、物語のように暮らしたいという憧れが彼女の部屋にたくさん表現されている。

だからこそ、生活感をできるだけ拭い去りたい…けれど、調理に必要な道具などはすぐに取り出せる場所に置きたい。そんなジレンマもあった。

「大丈夫ですか?生活感、出てないですか?」とインタビュー中ずっと心配をしていたI.Cさんだったが、全く問題なく。

むしろ、そんな彼女愛用の道具たちが、あたたかいエッセンスになっている。「部屋は住人の鏡」という言葉の見本のような空間だった。

これからもこの部屋で暮らしていきたいけれど、先のことはどうなるかまだわからない。でもきっとずっと、一番好きだと言える部屋はここだと思う。そう語るI.Cさんの目はとても輝きに満ちていた。

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メルヘンやファンタジーの童話から飛び出してきたようなアンティーク調ランタンスタンドと鏡。存在感の強さで部屋のテーマアクセントにもなる上級者的アイテム。

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自家製の果実酒、そして寄せ植えはここに刻んだ自分史。自らの手で紡ぐ自分だけの幸せなストーリーは、いつしか誰かとの出会いで合作となり、未来へとつながっていく。

Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Yoshinori Tonari