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新旧のカルチャーに触れ、衣・食が刺激的に共存する「上野」

東北からの東京の玄関口となっている上野。かつては、たくさんの夢見る上京者たちがスタートの地として降り立った場所だ。地下鉄やJR・私鉄あらゆる路線がまるで血管のように密に巡っており、東京や新宿・渋谷・羽田など都内主要駅のどこからでもアクセスしやすい中心地である。国立美術館や博物館、動物園など見所も満載で、狭いエリアで一気に知的好奇心を満たすことができる。文化的拠点・上野は世界的にも人気の街であり、365日多くの外国人たちが大挙して訪れている。さらに、近隣駅にも魅力的なスポットがたくさんあり、ぶらぶら歩いて散策もよし、自転車やバスを利用してもよし。満足度の高い散策ができるので車を持たない人でも楽しめる立地だ。現在は家賃相場の高い所ほど人気なので、アクセスの良さも相まって上野のブランドイメージは上がる一方のようだ。

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芸術と歴史と生命力。
歴史と新しい風を感じる街場所。

上野公園内には、国立の美術館や博物館・動物園など数多くの見所がありとても一日だけでは見切れないほど。各館では年間を通して目玉企画展示が行われているため、つねに入場を待つ人たちの長蛇の列が絶えない。それでも上野では、企画展の列に並ばなくても芸術作品は見られるのだ。20世紀を代表するフランス人設計士ル・コルビジェが手掛けた西洋美術館や安藤忠雄が改修に携わった国際こども図書館、明治末期の洋風建築である表慶館など、美しく芸術的な「建築物」を見て楽しむことができる。公園のほど近くには名門・東京藝術大学もあり、この街はずっと藝大生たちの感性をも育んできた、まるごとカルチャーの聖地なのだ。公園付近の喧騒にちょっと疲れたら、ちょっと離れた不忍池のほとりで一休み。水天宮へと続く道の屋台で軽く小腹を満たすこともできて、ぼんやりリセットもできる。短い休日を有意義に過ごすにはもってこいだ。

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多くの人の熱気と売り子の声は
今も昔も変わらない楽しい日常。

新鮮な肉や魚、野菜をはじめ外国の珍しい食材や各種菓子、そして国際色豊かな古い飲食店など。「食の文化」にどっぷり浸りたいなら、迷わず「アメ横」へ。終戦直後のヤミ市時代、高架下を中心にアメ屋がたくさんあったことからその名がつけられ、当時から熱のある活気はずっと変わらない。なによりここは食だけでなく、服や靴、鞄、雑貨、貴金属類などの店舗も無数にあり、必ず「欲しいもの」に出会えることうけあいだ。肉や魚介類の隣に突如ミリタリージャンパーが陳列していたり、ちょっとカオスで雑多な感じがなんとも楽しい。メイン通りから横道に入れば、一杯飲み屋やさらにディープな服飾の専門店などがあるので、こだわりスポットを見つけて思う存分自分の好きな世界に浸ることもできる。日々のちょっとした買い物だけでなく、休日のグルメ欲をも十分に満たしてくれるアメ横は、連日、日本全国・世界各国から実にたくさんの観光客が訪れる。そこに住むということは、いまや日本だけでなく世界中から羨望の目で見られる立派なステイタスだ。

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芸術と歴史と生命力。
歴史と新しい風を感じる街場所。

上野公園やアメ横の喧騒から逃れ、動物園脇を通り谷中へと向かって歩く。下町情緒たっぷりな古い街並みの中に、ちらほらと共存しているモダンな建築物…。新旧の良いところだけがバランスよく織りなされた通りは、懐かしさと目新しい刺激を感じられる魅力であふれている。街猫を追って横道に入れば、目の前には古き良き時代のモダンクラシックな銭湯が。明治の文豪の旧居を保存したホテルや古道具屋などを見ながら進むと、古い家屋をリノベーションしたセンスの良い雑貨屋や鞄屋、カフェなどが連なる。いずれも若い店主が営んでおり、夢をかなえた人たちの可能性に心が元気づけられるようだ。谷中「夕やけだんだん」の階段のうえに立ち、ちょっとノスタルジックな気分なるころ、目の前の空が赤く暮れていく…。あちこちでさんざん道草を楽しんでも、上野から谷中ぎんざ商店街までの所要時間は徒歩約40分。ほんのちょっとした散策でも満足度は100%。心も体も喜ぶ半日旅だ。