賃貸借契約書の読み方のポイントは?トラブル回避のための確認事項

賃貸契約手続きの最終段階に差し掛かると、重要事項説明を受けた上で「賃貸借契約書」を取り交わすことになる。賃貸借契約書を取り交わせば契約成立となるが、安易に署名・捺印をするのは禁物だ。入居後のトラブルを避けるためにも、賃貸借契約書には入念に目を通しておきたい。
ここでは、賃貸借契約書の役割や、署名・捺印前に確認すべきポイントについて見ていこう。

賃貸借契約書は賃貸契約において最も効力を持つ書類

賃貸借契約書とは、借主が重要事項説明書に署名・捺印した後に取り交わす書類のこと。大家や管理会社と結ぶ契約書で、賃貸契約を正式に約束するために必要な物だ。

賃貸契約の際は、重要事項説明書にも署名・捺印をするが、実際の契約で効力を持つのは賃貸借契約書である。契約成立後、万一、重要事項説明と賃貸借契約書の内容に違いがあったとしても、基本的には賃貸借契約書の内容が優先されるため、きちんと内容に納得した上で署名・捺印したい。

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賃貸借契約書で必ず確認すべき7つのポイント

賃貸借契約書を取り交わす際には、必ず全体に目を通し、重要事項説明と異なる内容や疑問点がないか確認する必要がある。ここからは、賃貸借契約書で特に確認したい、7つのポイントを見ていこう。

1 借りる物件の情報

賃貸借契約書の冒頭部分には、物件名や住所、建物の構造、間取り、部屋番号、築年数といった物件の情報が記載されている。これから借りようとしている物件の情報と一致しているか、必ず確認しておこう。

2 契約期間と諸費用、家賃の支払い方法

契約期間と敷金・礼金、家賃などの諸費用、さらに家賃の支払い方法や期日などを賃貸借契約書で確認しよう。家賃の支払い期日を間違えて覚えると、滞納につながるおそれがあるため、毎月いつまでに支払うことになっているかチェックしておきたい。

3 付属品と残置物

賃貸借契約書には、部屋に備わっている「付属品」と「残置物」が記載されている。付属品とは、エアコンやガスコンロなど、部屋と合わせて借りることができる設備のこと。これらの設備は、借主が故意に壊した場合などを除いて、基本的には大家や管理会社に修理代を負担してもらえる。
残置物とは、前の住人が残した物を指す。任意で使えるが、故障しても補償はないため気をつけたい。必要ない場合は、大家や管理会社に相談して、入居前に撤去してもらおう。

4 大家や管理会社の連絡先

賃貸借契約書には、大家や管理業者の連絡先が記載されている。入居後にトラブルが起きたり、設備の修繕について相談したりする際に必要となるため、必ず控えておこう。

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5 解約条項や禁止事項、違約金

解約条項のほか、禁止事項およびその違約金は、入居後のトラブルの原因になりがちな部分。特に、解約したいときいつまでに連絡すべきかについては、きちんと確認しておきたい。
禁止事項は、一般的に「禁止または制限される行為」という項目に記載されている。万一、違反した場合の違約金についても記載されているため、目を通しておこう。

6 物件の修繕に関する取り決め

「電球交換は勝手にしてもいいか」「設備が故障したら誰に連絡するのか」「修繕費は誰が負担するのか」といった修繕に関する規約も必ず確認すること。入居後に余計な出費を増やさないためにも、重要な項目だ。

7 解約時の原状回復義務と敷金の精算について

トラブルを避けるために、解約時の原状回復義務をはじめ、借主が負担すべき物についても確認しておこう。原状回復に必要な費用は、敷金から一定額を差し引かれるケースもあるため、敷金の項目で精算方法についてもチェックしておきたい。

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トラブルを避けるために確認しておきたい項目

賃貸物件を借りると、更新手数料や連帯保証人に関する規約をめぐって、思わぬトラブルが生じることもある。賃貸借契約書には、見落としがちな規約も記載されているため、読み流しせず納得した上で契約を結びたい。トラブルを避けるために確認しておきたい項目は、次のとおりだ。

更新時に支払う金額

賃貸契約の更新時には、更新料だけでなく、事務手数料や火災保険料などの諸費用がかかる場合がある。更新時の出費に備えられるように、更新時の費用についてチェックしておこう。

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通知義務の内容

借主の家族構成や勤務先、連絡先などが変わるときは「通知義務」が生じるが、この通知を忘れてしまう借主が意外に多い。緊急時に大家や管理会社から連絡がつかず、トラブルの原因になってしまうこともあるため注意したい。

連帯保証人について

連帯保証人は、初回の更新までの契約期間だけいればいいと勘違いしている借主もいる。しかし、連帯保証人は、基本的に賃貸借契約が解約されるまで外すことはできない。それを踏まえて、連帯保証を依頼したり、引き受けたりすることが大切だ。

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特約事項

特約事項には、解約時の原状回復費用やペットの飼育、楽器演奏などに関する規定が記載されている。ペットを飼ったり、楽器を演奏したりする予定がある人は、しっかり目を通しておこう。

署名・捺印前に、賃貸借契約書のすべての項目を確認しよう

賃貸借契約書には、入居後のトラブルや思わぬ出費などを避けるためにチェックしておきたい、あらゆる取り決めが記載されている。
書類を受け取ったら、すぐに署名・捺印せず、隅々まで目を通して、十分に理解・納得した上で契約を結ぶことを心掛けよう。

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