更新か引越しか?賃貸で迷ったときの決め手を紹介

通常、賃貸物件は2年ごとに更新を迎える。その際に支払う更新料は高額なため、そのまま更新するか、引っ越すべきか悩む人もいるだろう。更新と引越しではかかる費用が異なり、どちらがおすすめなのかはその人の状況や優先したい条件によっても変わってくる。
そこで今回は、賃貸の更新か引越しかで迷ったときの考え方を紹介する。併せて、更新時に家賃交渉する際のポイントも見ていこう。

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まずは更新料と引越し代のシミュレーションを

賃貸を更新するか引っ越すかで悩んだときは、まずはそれぞれにかかる費用をシミュレーションして比較してみよう。更新と引越しにかかる費用は、次のように算出できる。

<更新と引越しにかかる費用の目安>
賃貸の更新にかかる費用=更新料+更新手数料+火災保険料
引越しにかかる費用=初期費用+引越し会社の料金+退去時に精算する費用

引越しにかかる費用は、利用する引越し会社や新居の家賃などによっても変わってくるが、目安としては家賃の約5ヵ月分とされている。引越しにかかる初期費用には、不動産会社などに支払う敷金や礼金、火災保険料、家賃保証会社利用料などのほか、場合によっては、鍵の交換費用などが含まれる。さらに、引越し会社の料金は、引越しの繁忙期になると閑散期の1.5~2倍近くになる場合もある。

国土交通省の「令和元年度 住宅市場調査報告書」によれば、賃貸物件の更新手数料は家賃の1ヵ月分が73.7%となっている。こうした金額を考慮すると、更新と比べて引越しは高額になる可能性もあるため、資金には余裕が必要だ。
また、不動産会社によっては、更新料や火災保険などの見直しによって、更新にかかる費用を抑えられる可能性もあるため、更新すべきか悩んだときは確認しておきたい。

更新と引越し、どちらがおすすめ?

費用をシミュレーションした上で更新と引越しに悩んだときは、自分がどのような条件を優先したいのかも判断材料にしよう。ここでは、更新と引越しがそれぞれどのような人におすすめなのかを紹介する。

部屋の更新がおすすめの人

部屋の更新がおすすめなのは、とにかく費用を抑えたい人や、今の賃貸でも特に不便さや不満を感じていない人だ。

・少しでも費用を抑えたい人
前述したように、引越しは更新に比べて高額な費用がかかる可能性がある。資金に余裕がなく少しでも出費を抑えたい場合は、無理に引越しをせずに更新を選び、貯金するという選択がおすすめだ。

・現状でも通勤や普段の暮らしに不便さを感じていない人
今の賃貸でも通勤や普段の買い物、住み心地などに特に不便さや不満を感じていなければ、費用や手間をかけて引っ越す必要はないだろう。賃貸に求める条件やライフスタイルが変わって、引っ越す必要が出たときに向けて資金を貯めておこう。

引越しがおすすめの人

引越しがおすすめなのは、資金にある程度の余裕があり、現在より条件の良い環境で暮らしたい人だ。

・心機一転して新しい賃貸に住みたい人
ある程度まとまった費用や時間をかけても、新しい賃貸に引っ越して新生活を送りたいという人もいるはず。新居選びの際は、引越しにかけられる予算を決めた上で取り掛かろう。

・よりアクセス性の良い場所に住みたい人
就職や転職でライフスタイルが変わった場合や、よりアクセス性の良い場所に住みたい人にも、引越しが向いている可能性が高い。

・今よりも家賃などの条件が良い賃貸に住みたい人
現在、支払っている家賃では高すぎると感じる場合や、立地条件や設備などの条件がより良い賃貸に住みたい人にも、引越しがおすすめだ。近年はテレワークが普及したことで、家賃が安い地域へ引っ越す人も増えている。
賃料を抑えられる物件への引越しができれば、初期費用はかかるものの、長い目で見るとコストパフォーマンス良く暮らすこともできるだろう。

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更新時に家賃の減額交渉をするポイント

現在住んでいる部屋を気に入っており、更新をしたいけれど、賃料はもう少し抑えたい。そのような場合は、更新手続きの際に家賃の減額交渉をするのもひとつの方法だ。
ここでは最後に、家賃交渉を成功させるための3つのポイント見ていこう。

インターネットで類似物件の家賃と比較する

家賃交渉の前に、今住んでいる物件と条件が似ている物件をインターネットで探し、家賃の相場を確認しよう。リサーチした相場よりも現在支払っている家賃が高い場合は、交渉の材料にできるためだ。
また、同じ物件に長く住むうちに「近隣に高い建物が立って日当たりが悪くなった」「近くの商業施設が閉店してしまった」など、契約当時と立地条件が変化している可能性もある。このように、借りたときよりも条件が悪くなった場合も、家賃交渉の材料にできる可能性があるため確認してみよう。

減額交渉は最大でも3,000円程度にとどめる

家賃の減額交渉は、最大でも3,000円以内を目安にしよう。交渉額が高すぎると、減額自体を受け入れてもらえなくなる可能性があるためだ。
3,000円程度までの少額の交渉であれば、「空室になるよりも収入につながる」と前向きに検討してもらうことが期待できるだろう。

交渉の際は長く住む意思を伝える

家賃交渉の際は、不動産会社や大家さんへ長く住む意思を忘れずに伝えよう。空き室を作ることを避けたい貸主側は、長く住む意思のある人になら、多少の家賃の減額を検討してくれる可能性が高い。
「今の立地条件や生活環境が気に入っている」「今後しばらくは転職や転勤などの予定がない」など、長く住むための具体的な理由も伝えて、スムーズな交渉につなげよう。

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タイミングも考慮して更新か引越しかを検討しよう

更新と引越しで悩んだときは、費用のシミュレーションも行った上で、タイミングや状況から判断することも大切だ。不動産会社の閑散期なら、家賃や引越し料金を抑えて新居に移れる可能性もある。反対に、繁忙期に引越し作業を進めると、さらに費用がかかってしまうため注意したい。
このようなタイミングも踏まえて、更新か引越しかを慎重に判断しよう。