つみたてNISAとiDeCo、どちらがお得?特徴と違いについて

つみたてNISAとiDeCoは、どちらも「節税に役立つ」と人気の資産形成方法。老後資金の形成と絡んで紹介されることも多い2つの制度について、具体的にどう違うのか、結局どちらを利用するといいのか紹介しよう。

つみたてNISAとiDeCoの特徴とは?

つみたてNISAとiDeCoは、それぞれ異なる特徴を持っている。どちらが優れているかを考える前に、まずは概要を理解しておこう。

つみたてNISA

つみたてNISAは、専用の投資口座を作ることで一定期間・一定額までの投資益が非課税になる制度。投資できる商品は、ローリスクな株式投資信託などのみで、原則として積立形式のみで購入できる(スポット購入不可)。

iDeCo

iDeCoは、個人型確定拠出年金の愛称で、「イデコ」と読む。これは、老後資産形成に特化した制度で、毎月一定の金額を拠出し、個人の指図で運用することで老後資金を形成していく。
投資できる商品は、定期預金、保険、投資信託など幅広く、拠出金は全額が所得控除の対象。

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つみたてNISAとiDeCoを比較!どっちがお得?

つみたてNISAとiDeCoについて、具体的な掛金や受け取り方、形成可能な資産などを比較してみよう。

■つみたてNISAとiDeCoの概要

  つみたてNISA iDeCo
加入年齢 20歳以上 20歳以上60歳未満
掛金上限 年間40万円 職業などにより異なる
(14万4,000~81万6,000円)
年数 最大20年 拠出は60歳まで
(以後10年は運用のみ可能)
税制 運用利益:非課税 運用利益:非課税 
拠出金額:全額所得控除
投資方法 積立 積立
投資商品 株式投資信託、ETF 定期預金、投資信託、保険 ほか
手数料 投資商品にかかる手数料 投資商品にかかる手数料、
国民年金基金連合会に支払う手数料、
金融機関に支払う手数料 ほか
解約・引き出し 自由 解約不可、引き出しは60歳以降

それぞれの違いについて、特に注意したいポイントをまとめてみた。

節税メリットが大きいのは断然iDeCo

iDeCoは、拠出金の全額を所得控除できる。例えば、課税所得額300万円の人がiDeCoを毎月3万円利用した場合、所得税と住民税合わせて7万2,800円程度の節税ができる(具体的な節税額は年収などの状況によって上下する)。
一方、同額をつみたてNISAで運用した場合、運用益は非課税だが、積み立てた金額についての控除制度はない。

つまり、毎月3万円をつみたてNISAで運用するか、iDeCoで運用するかの違いだけで、年間7万円以上の収支の違いが出るということだ。

このことから、節税メリットを存分に活用したいのであれば、iDeCoが適しているといえるだろう。ただし、「それならiDeCoにしよう」と決めるのはまだ早い。iDeCoは決してメリットばかりではないのだ。
次に、iDeCoのデメリットを見てみよう。

iDeCoに潜む3つのデメリット

iDeCoには、つみたてNISAにはない3つの問題点が潜んでいる。これを知らずに節税メリットだけを見て決めてしまうと、大きな損失につながってしまうかもしれない。

・手数料
iDeCoは、申込時に2,829円、掛金納付のたびに105円、還付の際に1,048円(納付資格がない人が納付してしまった場合など)、金融機関に支払う月々の手数料(金融機関によって金額が異なる)など、さまざまな手数料がかかる。さらに、受け取る際も1回440円の手数料が必要だ。

これらの手数料は、今後変わる可能性もあるだろう。実際、消費税が8%から10%になったことで、2019年10月1日からすべての手数料が改定されている。

・原則60歳まで解約できない
iDeCoは、一度契約すると原則60歳まで解約をすることができない。また、60歳時点での加入期間が10年に満たない場合、最長65歳まで受け取り開始年齢が遅れる。そのため、離職や両親の介護、病気など、老後資金以外のトラブルに備える資金は、別途用意する必要がある。
なお、新たな拠出を停止することはできるが、その場合も手数料を支払わなければならない。

・受け取り時の課税
iDeCoは、拠出時の節税メリットが大きい半面、受け取り時には課税されることになる。
ただし、一時金として受け取った場合は退職所得控除、年金として受け取った場合は年金控除が利用できるが、受け取るごとに手数料がかかる年金受け取りはデメリットが大きい(年1回受け取りを利用することで手数料を少なくすることは可能)。

一方、一時金受け取りも一部の会社員にとってはリスクをはらんでいる。退職金のある会社に勤めている場合、退職金+iDeCoの金額が、退職所得控除の金額(※)を上回ってしまうと、その分には所得税が課税されてしまうのだ。

※勤続年数20年未満の場合は「40万円×勤務年数」、20年以上の場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」

デメリットの少ないつみたてNISA

iDeCoには、さまざまなリスクがあることを説明した。
一方、つみたてNISAで起こりうるリスクは、自分が選んだ投資商品の運用がうまくいかないケースくらいだろう。これは、iDeCoでも同様に起こりうることだ(ただし、iDeCoは元本割れリスクのない商品を選ぶことができるが、つみたてNISAはできない)。
なお、節税できるのは利益にかかる税金のみで、節税メリットは少なくなっている。

つみたてNISAとiDeCoはどっちを選ぶべきか?

つみたてNISAとiDeCoについて特徴を比較してきたが、結局どちらを選ぶのがいいかといえば、「状況によって異なる」ということになる。
そこで、資金の用途と収入状況に応じた選び方を説明しよう。

老後資金づくりならiDeCo

老後資金形成のための方法を探しているのであれば、節税メリットが大きく、途中で解約や引き出しができないiDeCoが適しているだろう。

特に、収入額が大きくて退職金のない仕事をしている人は節税効果が高いため、iDeCoを検討してみてはどうだろうか。収支に余裕があれば、老後資金以外の臨時の支出については、iDeCoと別に貯めていくのも◎。

老後資金以外の用途ならつみたてNISA

教育資金や親の介護費用、住宅購入資金など、老後資金以外の用途で積み立てたお金を使う可能性があるのなら、好きなタイミングで引き出せるつみたてNISAを選ぼう。

また、失業リスクや病気への備えなどが十分でないと感じている人も、iDeCoよりもつみたてNISAが適している。ただし、生活防衛資金が一切ないという人は、投資よりも、まずは手元の預貯金を増やすところから始めたほうがいいだろう。

短期的に使う可能性があるならどちらも避ける

車の購入や車検、家電の買い替えなど、短期的に使うお金は、iDeCoだけでなく、つみたてNISAで貯めることもおすすめできない。
つみたてNISAは、好きなタイミングで引き出せるとはいえ、あくまで長期的に積み立てることで資産形成を目指すものであるため、数年以内に利用する予定がある資金については、積立定期預金などで堅実に貯めていこう。

iDeCoとつみたてNISAは併用可能だが、自分に合った方法を考えよう

ここまで説明してきたが、実際、iDeCoとつみたてNISAは併用することもできる。ただ、むやみに併用するのではなく、家計状況や利用する目的を考えて、損をせずメリットの大きい方法を選択しよう。

つみたてNISAとiDeCoにはどちらもメリットがあり、どちらを選ぶべきかはライフプランや家計の状況、収入などによって変わってくる。「みんなやってるから」「お得そうだから」という理由でなんとなく始めると、思わぬ問題に発展することもある。おのおのの特徴を理解した上で選択することが大切だ。

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