国民年金保険料を未納のままにしているとどうなる?

学生時代や転職期間中に、国民年金を払わなかった経験がある人はいないだろうか?もしかしたら、意識しないまま未納期間ができてしまっている人もいるかもしれない。
今回は、国民年金を未納のままにしておくことで、どのような問題が起こるのか説明しよう。

国民年金とは?制度をおさらい

国民年金(老齢基礎年金)は、日本の年金制度の1階部分といわれ、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は全員加入する必要がある
また、国民年金に加入している人は、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類に分けることができる。

・第1号被保険者
自営業者や学生、フリーターなど、自分で国民年金保険料を納めている人。

・第2号被保険者
会社勤めをしていて、厚生年金保険料が給与から天引きをされている人。国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれる。

・第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている年収130万円未満の配偶者。国民年金保険料を自身で支払う必要はない。

このうち、国民年金保険料が未納になっている可能性があるのは、第1号被保険者の人だ。第2号被保険者は会社が給与から保険料が天引きされるため、基本的に払い忘れる心配はない。また、第3号被保険者は、自身で保険料を支払う必要がない。

国民年金保険料の未納が原因で起こる問題

国民年金保険料を未納のままにしておくことで起こる問題は、単に「督促が来る」といったことだけではない。将来起こりうる問題について知っておこう。

将来年金がもらえない、または額が減る

国民年金は、受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間)が10年以上なければ受け取ることができない。10年以上会社員として働いた人の場合、「もらえない」という心配はないだろう。
しかし、未納期間があると、その分将来受け取れる年金額は減ってしまう。「年金はあてにならない」という考えの人もいるが、年齢の縛りなく、生きている限りお金が受け取れる年金制度は、やはり老後の生活の基礎となるものだ。できるだけたくさん受け取れるようにしておきたい。

障害年金がもらえない可能性がある

障害年金とは、一定の障害を負ったときにもらえる年金のこと。障害があると、思うように働けなくなってしまうこともある。そういったときに、障害年金を受け取れるのは大きな助けになるだろう。
ただし、初診日の前々月までの年金加入期間のうち、3分の1を超える未納期間がある場合は障害年金を受け取ることができない。しかし、初診日の前々月までの1年間に未納期間がなければ受け取ることは可能だ。

差し押さえに遭う可能性がある

国民年金への加入は、国民の義務。最悪の場合、国民年金保険料の未納分の支払いのために、給与等が差し押さえられる可能性もある。

国民年金保険料が払えないときの対処法

収入が少ないなどの理由で国民年金保険料が支払えないときは、免除や猶予といった制度を使うことができる。将来の年金受給資格に関わるため、面倒でも連絡なく未納にするのではなく、地域の年金相談窓口を訪ねよう。

免除

収入が少なく、年金保険料を支払えない場合、状況に応じた免除制度が受けられる。免除される額は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」のいずれかだ。
ただし、本人、世帯主、配偶者の前年の所得がすべて一定以下でなければ、免除制度は利用できない。例えば、本人の所得は低いものの、世帯主である親の所得が高い場合は対象外となる。

免除を受けるメリットとして「免除期間が受給資格期間に含まれる」という点と、「免除を受けた場合でもある程度の年金を受け取ることができる」という点が挙げられる。
免除制度を利用すれば、万一のときに障害年金を受け取ることもできる。また、将来受け取れる年金額も、未納の場合より高くなる。デメリットがない制度のため、保険料が支払えないときは積極的に利用したい。

猶予

年金保険料の猶予は、20歳から50歳未満の場合に利用できる制度だ。本人と配偶者の前年所得が一定以下の場合に対象となる。
猶予を受けた場合「猶予期間が受給資格期間に含まれる」というメリットがある。一方、免除のように年金額が増えることはない。

未納分がある人はどうすればいい?

最後に、これまでの年金加入期間中、保険料を支払えずに未納にしていた期間がある場合の対処法を紹介しよう。

未納したのが2年以内なら追納する

国民年金保険料には支払期限が設けられているが、それを過ぎると絶対に支払えなくなるというわけではない。2年までならさかのぼって納付できるため、未納分の保険料がある人は、すぐに追納しよう。
なお、過去2年以上継続して未納している場合でも、直近2年分の保険料については追納できる。

国民年金保険料を追納することで、将来の年金受取額が増加する。一時的な保険料負担はあるが、それも、所得税や住民税の減税という形で一部が戻ってくる。デメリットよりメリットのほうが大きいといえるだろう。

免除や猶予を受けていた場合も追納ができる可能性がある

未納ではなく、免除や猶予を受けていた場合は、10年前までさかのぼって追納することができる。「保険料を支払っていなかった期間があるが、未納なのか免除や猶予なのかわからない」という場合は、地域の年金事務所で相談してみよう。
同様に、未納期間があるかどうかわからない人も、一度確認しておくと安心だ。

なお、誕生月に届く「ねんきん定期便」には、直近の加入状況が記載されている。ここに「未納」と書かれていた場合は、その分について早めに追納しよう。
ただし、古い履歴については、35歳、45歳のときに届く封書の定期便にしか記載されていない。不明点がある場合は、やはり、地域の年金相談窓口で問い合わせるのが確実だ。

今後は確実に支払う

過去に未納期間があって、すでに追納できなかったとしても、通算10年以上加入していれば将来年金を受け取ることができる。
今後は未納にならないよう確実に支払い、失業などが理由で支払えなくなったときは、免除や猶予の手続きを行うようにしよう。

未納期間を減らすことは自分の将来のためにも大切

国民年金は、年金制度のベースになるもの。老後の老齢基礎年金だけでなく、万一のときには障害年金を受け取ることもできる。
未納期間が長くなると、その分もらえる年金額も減ってしまうし、最悪の場合は年金がもらえない可能性もある。支払う義務があるからというだけでなく、自身の将来のためにも、未納期間をできるだけ減らすことが大切だ。

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