使わない銀行口座は解約を!休眠預金のデメリット

現在、自分が保有している銀行口座のうち、半年以上使っていない口座を答えられるだろうか。
長いあいだ使っていない銀行口座を放置していると、思わぬトラブルにつながる可能性がある。銀行口座の棚卸をして、利用状況を確認しよう。

使っていない銀行口座を放置するデメリット

使っていない銀行口座の放置には、さまざまなデメリットがある。「しばらく使う予定がないから、放っておけばいいか」と軽く考えていると、損をしてしまう可能性があるのだ。
銀行口座を長いあいだ放置することで何が起こるのか、4つの問題点をまとめてみた。

お金の管理がしにくい

そもそも、銀行口座が複数あるということは、それだけ預金が分散されているということだ。もちろん、目的別の貯金をしているなど、意図して分けているのであれば問題ない。しかし、意味もなくあちこちにお金が分散していると、全体像が見えなくなり、管理がしにくくなる。

お金を有効活用できていない

長期間放置してある銀行口座について、金利が何%なのか理解している人はほとんどいないだろう。しかし、せっかく持っているお金を、利率もわからない状態で放置するのはもったいない。

2021年8月現在、都市銀行の普通預金金利は0.001%だ。利率のいいネットバンクへ預け替えたり、使っていない銀行口座の残高をまとめて「○万円以上で優遇金利」といった好条件の定期預金に預けたりすれば、より多くの利息を得られる可能性がある。

休眠預金も、自分の資産の一部だ。有効に活用しよう。

手数料がかかることがある

近年、利用されていない銀行口座の所有者に対して、手数料を課す銀行が出てきている。

<手数料例>
・りそな銀行…2年間使用していない口座に対して、年間1,320円の口座管理手数料
・三井住友銀行…2021年4月1日以降に作られた口座のうち、2年間利用していない口座に対して、年間1,100円のデジタル未利用手数料

※ただし、両行とも残高1万円以上は対象外など、免除条件が設けられている。

こうした流れは、今後も加速していくと予想される。今は、手数料がかかっていなかったとしても、放置し続けることで手数料が課せられる可能性は十分あるだろう。

休眠預金になってしまうリスクがある

休眠預金とは、10年以上取引がない銀行口座の預金を指す言葉だ。休眠預金になると、残高が預金保険機構に移管され、民間公益活動に利用されることになる。
休眠預金は、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(休眠預金等活用法)にもとづく国の制度だが、銀行の制度として長期間放置されている銀行口座の取引を停止するケースもある。

例えば、三井住友銀行では5年間利息以外の入出金がなく、残高が1,000円未満の口座について、取引停止にすることがあるという案内を出している。ただし、取引が停止されても所定の手続きを踏めば、利用の再開や払戻しが可能だ。

休眠預金になるのを防ぐ方法とは?

長期間取引のない銀行口座を持っていたからといって、すぐさま休眠預金になってしまうわけではない。
まず、9年以上取引がない、1万円以上残高がある人に対して金融機関から通知が送られる。この通知を受け取った場合、何もしなくても休眠預金にはならない。しかし、引越しなどの理由によって通知が届かなかった人は、10年を超えるまでに取引を行わないと休眠預金になってしまう。

つまり、銀行口座を開設してから引越しをしていて、なおかつ長期間放置している銀行口座を持っている人は、十分な注意が必要ということだ。なお、銀行からの通知は、郵便ではなくメールで届くこともある。この場合も同様で、メールが届けば休眠預金にはならないが、メールが不着だと休眠預金になってしまう。
いずれにせよ、長期間取引をしていない銀行口座がある人は、今後、その口座をどう取り扱うかについて検討しておいたほうがいいだろう。

なお、休眠預金になってしまったとしても、本人が金融機関に行って手続きを行えば、預金を引き出すことができる。「10年を超えているからもう駄目だろう」とあきらめずに、まずは問い合わせをしてみることをおすすめする。

銀行口座の「解約しすぎ」に注意!

ここまで、使っていない銀行口座を放置するデメリットについて解説してきた。だが、それと同時に、「銀行口座を解約するデメリット」についても理解しておく必要がある。
近年、銀行口座の不正使用などの影響によって、口座の開設条件が厳しくなっている。自宅や勤務先の近隣以外の、遠方の支店での口座開設は断られるケースも珍しくない。また、口座開設時には、何に使うのか用途の質問もされる。

このような傾向が今後も続けば、気軽に銀行口座を開設するのは難しくなるかもしれない。また、長年放置していた銀行口座が、以前住んでいた地元の地方銀行や信金のものだった場合、同じ金融機関での口座開設ができない可能性もある。
もし、将来利用する可能性があるのであれば、とりあえずキープしておくというのもひとつの方法だ。

使っていない銀行口座を維持するためのポイント

使っていない銀行口座をそのまま維持する場合、登録してある住所やメールアドレスが最新のものになっているかどうかを確認しよう。これは、休眠預金にしないための対策だ。

また、各銀行の手数料対策として、ある程度まとまった資金を預けておくのも良いだろう。現行では、都市銀行は1万円がボーダーラインとなっているため、その額が目安となる。ただし、実際の制度については各銀行が決めることになるため、最新の情報を定期的に確認することが大切だ。

銀行口座の活用法

銀行口座は、「貯める口座」「使う口座」「増やす口座」の3つ作ろうといわれることがある。しっかり管理できるのであれば、貯める口座や使う口座が複数あっても良い。

例えば、家賃や保険料は、毎月同じ金額が引き落とされる。そのため、年間の必要金額をあらかじめ計算して、貯金やボーナスから取り分けて特定の銀行口座に入れておくことができる。そうすれば、引き落とし残高を気にすることなく暮らせるだろう。「毎年1ヵ月分多く入金する」などして、ちょっとした積立預金として活用することも可能だ。

また、「旅行用貯金」や「資格取得費用」など、目的を決めて貯金をする場合、専用口座を作ると残高や積み上がりが目に見えてわかり、モチベーションの維持につながるだろう。
銀行口座はいろいろな使い方ができる。自分にとってベストな口座数と活用法を見つけよう。

銀行口座は把握と管理が大切

自分が持っている銀行口座について、「何のために使っているのか」「最新の残高はいくらなのか」を把握し、その上で、今後利用するかどうかを検討してみてほしい。
必要のない銀行口座をいつまでも持っていることも、必要以上に銀行口座を減らして不便をすることも、どちらも同じくらいもったいないことだ。休眠預金にならないよう、銀行口座の数と使い方を把握し、バランス良く管理しよう。

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