住宅ローン審査の基準とは?購入前に押さえておきたいこと

不動産購入時に住宅ローンを組むためには、金融機関による審査を受ける必要がある。不動産の購入を検討する可能性があるのであれば、将来に備えて住宅ローンの審査基準を知っておこう。
ここでは、住宅ローン審査でチェックされるポイントと、問題なく審査に通るために心掛けるべきことを紹介する。

住宅ローンの基礎知識

一般的に住宅ローンとは、自分が住むための物件を購入する際に利用できるローンを指す。ほかのローンに比べて金利が低く、高額を借りることが可能だ。まずは、住宅ローンの審査に関わる基礎知識について見ていこう。

金融機関の住宅ローンとフラット35は特徴が異なる

住宅ローンは、メガバンクや地方銀行、ネット銀行といった民間の金融機関がそれぞれ提供する商品と、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する「フラット35」の2種類に大別できる。

一般的な住宅ローンは、金融機関によって金利や繰り上げ返済手数料、保証料などの条件が異なる。ただし、ほとんどの場合「団体信用生命保険」への加入が必須だ。団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者に万一のことがあった際、住宅ローン残債の支払いが免除される保険のこと。死亡や高度障害のほか、特定の疾病に罹患した際に免除される保険もある。

一方、フラット35は、民間の金融機関などを通して申し込みができるが、どこで申し込んでも金利は変わらない。また、団体信用生命保険への加入は任意となっている。

家を買うときに加入する団体信用生命保険とはどんな保険?

事前審査と本審査の2回審査がある

住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2回ある。まず、事前審査では、返済能力を中心に確認される。事前審査に通過したら不動産会社と物件の売買契約に進み、住宅ローンの本審査に申し込む。
本審査では、返済能力のほか、担保となる物件やローン契約者の健康状態も確認される。健康状態が良好でない場合、団体信用生命保険に加入できない可能性もある。

住宅ローンの審査の基準

住宅ローンの審査は、主に下記の6つのポイントについてチェックされる。具体的な基準は金融機関によっても異なるが、どのような点がチェックされるのか、あらかじめ知っておこう。

返済負担率

返済負担率とは、額面年収に占める1年間の返済額の割合を示すものだ。
返済負担率のおおよその目安としては、額面年収の30~35%までとなる。額面年収300万円の人であれば、年間の返済額は90万円から105万円、月額に直すと7万5,000円から8万7,500円だ。

しかし、額面年収200万円の人が、毎月10万円の住宅ローンを返済しようとすると、返済負担率は60%になってしまう。これでは生活が困難であるため、返済が滞る可能性が高いだろう。このような事態を防ぐために、審査の際には返済負担率が考慮される。

勤務先・勤続年数

住宅ローンを申し込んだ人が公務員や上場企業に勤めていると、安定しているとみなされる可能性が高い。反対に、自営業者やフリーランスは審査が厳しくなる傾向がある。
また、勤続年数の目安はおおよそ2~3年以上だが、半年~1年程度でも審査に通る金融機関もある。

個人の信用情報

個人の信用情報とは、過去に滞納の履歴などがないかどうかということ。クレジットカードや分割払い、税金などの滞納履歴や、現在の借り入れの状況などが確認される。
滞納の履歴や、現在の借り入れがない人ほど審査に通りやすくなる。ただ、ほかの借り入れがあるからといって、必ず審査に落ちてしまうわけではない。また、滞納履歴についても、すでに情報が消えている過去のものなどについては問われない。

健康状態

団体信用生命保険への加入が義務づけられている住宅ローンでは、健康状態によって審査に落ちてしまうこともある。このような場合は、フラット35のように団体信用生命保険への加入が任意である住宅ローンを選ぶ必要がある。

年齢

多くの住宅ローンでは、申込時や完済時の年齢に上限が設けられている。例えば、フラット35の場合、申込時の年齢が満70歳未満、完済時の年齢は80歳以下が条件となっている。
また、住宅ローンを組む金融機関によっては申込時の年齢が満20歳以上など、下限の年齢を定めている場合もある。

購入を予定している物件の担保力

住宅ローンは、購入する物件が担保となる。そのため、物件の担保力が借入額よりも低いと判断されると、住宅ローンの本審査に通らない可能性もある

住宅ローン審査に通りやすくするためのポイント

住宅ローンの審査では、審査時点の情報だけでなく、過去の信用情報もチェックされる。将来、住宅ローンを組もうと考えている場合は、日頃から滞納などに気をつけなければならない。
最後に、住宅ローン審査に通りやすくするために意識しておくべき5つのポイントを紹介する。

日頃から滞納をしないよう心掛けておく

住宅ローン審査で大きな問題になる可能性が高いのが、過去の滞納情報だ。税金やクレジットカードなどの支払いは、期日内に行おう。分割払いをしている携帯電話代金の支払いの延滞などにも気をつけたい。

審査前に別のローンを組まない

住宅ローンの審査を受ける際には、できるだけほかの借り入れがない状態にしておいたほうが有利になる。教育ローンやカーローンを組む必要がある場合は、住宅ローンの審査前ではなく、審査が終わってから組んだほうがいいだろう。

住宅ローン審査直前の転職・独立は避ける

住宅ローンの審査では、勤務先や勤続年数もチェックされるため、審査直前の転職や独立は避けたほうがいい。もし、将来的に転職や独立を予定しているのであれば、住宅ローンを組んだ後にしたほうがいいだろう。
ただし、転職・独立によって、収入が減少すると返済が滞る可能性が高くなる。資金計画は慎重に行おう。

頭金を貯めておく

物件を購入する場合、購入代金をすべて住宅ローンでまかなうこともできる。しかし、頭金をある程度入れることで返済が楽になるとともに、審査にも有利に働く。
頭金の目安は、購入金額の1~2割程度といわれている。ただし、物件を購入すると、諸費用や引越し費用なども必要となる。そうした必要経費も計算に入れて検討したい。

事前審査で通ったからといって油断しない

住宅ローンの審査では、たとえ事前審査で通ったとしても、本審査にも必ず通るとは限らないため、油断しないようにしよう。
事前審査で申告した内容に虚偽があったり、事前審査から本審査までのあいだに退職したりすると、審査に通らなくなる可能性がある。また、フラット35の場合、本審査で物件の評価が下がったため、審査に通らなくなったケースもある。

日頃の生活スタイルが住宅ローンの審査に影響する

住宅ローンの審査は、日頃のお金との関わり方によって、通りやすさが決まるといえるだろう。日常生活でローンを多用せず、こつこつ貯金をし、1つの会社で長く勤務してきた人であれば、それほど心配する必要はない。
反対に、ローンを多く抱えていたり、滞納した過去があったりする人の場合は、審査に通らない可能性が出てくる。将来的に住宅ローンを組むことを検討しているのであれば、今から堅実な暮らしを心掛けておこう。