緑あふれるコッツウォルズへの小旅行

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
ウェブ:http://matka-cr.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

6月前半は雨が多かったロンドンですが、後半からもちなおしました。ときどき30度超えの日もあり、夏らしい天気が続いています。

6月30日から全英オープンテニス(ウィンブルドン)が始まり、ワタクシが暮らす南ロンドン界隈も何となく賑やかです。

全英オープンテニス公式インスタより。センターコートばかり有名ですが、実は試合は同時にいくつも行われています。他にもたくさんコートがあることが分かる動画です。

ウィンブルドンといえば「イチゴとクリーム」そして「シャンパン」とともに観戦がならわし。現在イギリスはイチゴの季節真っただ中です。

緑豊かな「コッツウォルズ」へ。郊外への小旅行

夏嫌いもワタクシも、イギリスの夏の緑の美しさは素晴らしい!と毎年思います。天気の良い日にきらきら輝く木々や草花を見るのは本当に至福です。

日本から友人が来てくれたので、美しい風景を求めて友人とワタクシ、そして旦那のヒトの3人で郊外に小旅行に出かけました。行先はロンドンの北西に位置する丘陵地域コッツウォルズ。日本からのツアーにも組み込まれていることが多い、美しい田舎の風景が堪能できる場所です。

コッツウォルズ観光のエクスパートである10年来の知人Tさんに車をお願いし、車の混雑具合を見ながらTさんおすすめのスポットに連れて行っていただきました。

道

ロンドンを抜けるとほどなくして草原の風景が現れます。もう少し前でしたら一面黄色の菜の花畑が見られたのですが、現在はその季節は終了。すっかり毛を刈られて「夏の装い」になった羊さんが美味しそうに草を食んでいます。

ひつじ

時間も限られるので、Tさんには先にざっくりとした希望を伝えておきました。「ランチ代わりに、おいしいスコーン(アフタヌーンティ)をゆっくりたっぷり食べたい」「途中、おすすめのお店があったら寄ってほしい」「アンティーク屋さんには1軒寄りたい」「あとは美しい風景が見られたら大満足」――この4点。あまりにざっくりなリクエストなので通常だったら連れて行ってくれる方も困ってしまうと思うのですが、そこはエクスパート。道路状況を見ながら微調整しつつ、朝9時半出発、夜帰宅のスケジュールで車を走らせてくれました。

最初に向かったのはGreat Tew(グレート・テュー)という小さな集落。藁ぶき屋根の家が見られる村です。

Great Tew

日本の藁ぶき屋根とは手法が違うのでしょうか。こちらの家は葺いてからすでに時間がたっている様子です。そろそろ葺き替え時かもしれません。

こちらの美しい藁ぶき屋根の建物は元郵便局。現在は大人気のパン屋さんになっています。中にコーヒーショップも備えており、イートインもできます。

Bakergirl

地元の人たちから観光客まで、次々にお客さんが入ってくる大人気ベイカリー「Bakergird」。

1番人気の「チェルシー・バン」と「シナモン・バン」。

テイクアウトで1個3ポンド(約410円)、イートインで3.60ポンド(約500円)するのでまあまあ高いのですが、でもサイズは巨大な上に、何層にも重ねられた密集した生地。重さもドン!とあるので実際に食べるとかなりのボリュームです。朝ごはんに1個を2人でシェアするぐらいでちょうどよいサイズです。

チェルシー・バン

次々窯から焼き上がり、次々売れていきます。

アンティークセンターでお宝さがし

次に向かったのは、Chipping Norton(チッピング・ノートン)にある大きなアンティーク・センター「Station Mill」。2階建てで広さがあり、家具から小物までかなりの点数のアンティークを扱っていることで有名なお店です。

アンティーク

実は我が家のテーブルも、このお店で購入したんです。もう3年以上前になります。Tさんが仕事でこのお店に立ち寄った時に見かけたのを教えてくれたので、翌週買いに行ったのでした。

これなしには我が家が成り立たない…ぐらい、大活躍のテーブルです。折り畳み式。これは半分だけを広げた状態です。

いつも「ほしい」「集めたい」とミニマリストの間でさまようワタクシですが、今回は何も買わないつもりで立ち寄りました。しかし…

見ているうちに…

アンティーク2

こちらに…

お皿

つかまってしまったのでした(笑)。

お皿2

1枚4ポンド(550円ぐらい)なのでお手頃ではあります。

傷だらけだけど、主張しすぎない緑のパターンがかわいい。大きさがちょうどよくて、色々使えそう。と良いことばかりが頭をグルグル。

何か欲しいと思ったときは、断捨離するものを先に考えることにしています。モノを増やしたくないので、断捨離できればそのスペースが「空く」からです。

うーんうーんとお店でうなりつつ考えていると、普段なら目に入りそうな可愛らしいモノたちが、全然目に入ってこないものですね(笑)。

キャニスター

お店の中で旦那のヒトと緊急会議の上、結局購入することにしました。

我が家で撮影。購入翌日、我が家に滞在中の友人とともに、このお皿でアンチョビパスタを食べました。ちょうどよい大きさで重宝しそうです。

モノを買うと嬉しさと背徳感で微妙な気持ちになる、まったくもって「小市民」のワタクシです。

いつも刺激と発見をくれるファームショップ

次に立ち寄ったのは、Daylesford(デイルズフォード)にあるオーガニック食品と生活雑貨のお店「Daylesford Farmshop & Café」。このお店はロンドンにも支店があり、かつては日本にも店舗がありました。コッツウォルズに行くと必ず寄りたいお店の1つです。

外観写真を撮り忘れてごめんなさい。こちら、冬の画像ですが、こんな感じのファームハウス風の建物です。

オーガニックの野菜や果物、オーガニック素材を使った食品、そしてシンプルなデザインの雑貨が販売されており、レストランも併設されています。

Daylesford1

ガラス張りのエントランス部分。

Daylesford2

新鮮な野菜たちがお出迎え(販売されています)。

吹き抜けの店内はいつも気持ちが良く、そしていつもはっとさせられる商品やディスプレーが楽しいお店です。

Daylesford3

夏らしい白&青のテーブルウェアのコーナー。爽やかさが目に沁みます。

Daylesford4

かご好きのワタクシがうっとりのコーナー。ドライフラワーの色合いと天井からのつるし具合も参考になります。しばらく立ち止まって眺めていました。

Daylesford5

今回のワタクシ的発見は、木の枝の使い方。このお店のように棚に差し込むようにするのは大変ですが、切った木をディスプレーすることで室内にナチュラル感が生まれます。庭もベランダもない我が家に自然を取り込む工夫としてメモ。

新しい食材、天然素材の雑貨、オーガニックのコスメやバス用品など見るものは多く、シンプルでエコなパッケージも素敵です。何時間でもいられそうなこのお店を後にして、Daylesfordから車で10分ほど、Moreton in Marsh(モートン・イン・マッシュ)もあるティールームに移動しました。

イングリッシュ・ブレックファースト(朝ごはんですが1日中サーブしています)、バイ料理(甘くない、食事パイ)等のイギリス伝統料理とともに、アフタヌーンティー、クリームティー(スコーンと紅茶のセット)、各種ケーキを提供しているティーサロンです。

ティールーム1

こちらのお店は素朴なスタイルのアフタヌーンティーです。ケーキとサンドイッチはいくつかチョイスから選び、スコーンはレーズン入りまたはプレーンのどちらかをチョイスします。

余談ですが、アフタヌーンティーもお店によってスタイルは様々。お店によってはかなりコンテンポラリーなスタイルのものもあります。

ロンドンのホテル「The Barkley」のアフタヌーンティ。現在ヴィクトリア&アルバート博物館で開催中の「クリスチャン・ディオール展」とのコラボなので、アイシングクッキーがファッションのモチーフに。

今回このティールームのサービスが良くなかったので名前は記しませんが、スコーンはとてもおいしかったです。

ティールーム2

スコーンは粉っぽさが特徴の「サクサク」のものと、噛み応えのある「モチモチ」の2つがありますが、こちらのスコーンは「サクサク」も「モチモチ」の両方を味わえる珍しいタイプ。温めてからサーブしてくれます。半分に割り、クロテッド・クリームとイチゴジャムをたっぷり塗っていただきます。

お店紹介ばかりしていますが、移動中に車窓からずっと素敵な眺めを見ています。

途中

コッツウォルズの家は、はちみつ色の石「コッツウォルズストーン」の石積みが特徴です。

途中2

丁寧に積まれた石垣も美しいです。

車窓からの眺めだけでもコッツウォルズの田園風景の美しさを堪能できているのですが、小旅行の最後にウィリアム・モリスが「イングランドで最も美しい村」と称賛したBibury(バイブリー)を訪れました。

イングランドで最も美しい村「Bibury」

バイブリー1
バイブリー2

ちょうど日が差してきたこともあり、水ももキラキラ。

道路際に立つ家々のガーデンはとてもよく手入れされていて、観光客を楽しませてくれます。

バイブリー3
バイブリー4

でもこんな看板が設置されている家もあり。英語、中国語、韓国語、日本語。世界中から来る人々に迷惑かけられているのでしょう。マナーも大切です。

インスタ

絵本にでてきそうな家が建ち並ぶ小道。時間をかけてセルフィ―を取るカップルがほほえましかったです。

この村をたっぷり散策しながら、日常のストレスをかなり発散できた気持ちになりました。普段は家の中にこもっているワタクシですが、自然と美しい風景に囲まれることでもらえる爽快感と開放感! 特別なひとときでした。

自然を目いっぱい吸い込んで、とても満たされた気持ちで岐路につきました。

途中3

他にも美しい小さな集落にいくつも立ち寄ったのですが、あまりに写真が多くて紹介しきれず。またいつかご紹介できたら嬉しいです。

ワタクシは日本の田舎で生まれ育ち、18歳になったときに喜び勇んで都会に出ていき、それでも足りずにロンドンまで来てしまいました。若い時代は緑の美しさや田舎暮らしにあこがれることもありませんでしたが、今は田舎の風景にすっかり癒されるようになりました。

我が家は2人共車を運転しないので、利便性の面からも今後も田舎で暮らすのは少し難しいのですが、少し足を延ばすだけで美しい自然に触れることができる喜びを感じています。

ポピー

ラベンダーにはまだ早い時期だったのですが、沿道から赤いポピーが咲いているのを何度も見ることができました。

今回はワタクシたち一行のルートをざっくりお伝えしましたが、コッツウォルズは巨大な地域なので行先は様々あります。イギリスに旅行中に郊外観光の時間がある場合、コッツウォルズ行きも検討してみてください。英国児童文学作品や絵本を読みながら想像したそのままの世界がきっと目の前に現れますよ。

記事内で紹介したお店:

*Bakergirl
住所:23 The Green, Great Tew OX7 4DB
Web:http://www.bakergirl.co.uk/

*Station Mill
住所:Station Road, Chipping Norton, Oxon, OX7 5HX
Web:http://www.stationmill.com

*Daylesford Farmshop & Café
住所:Daylesford near Kingham, Gloucestershire GL56 0YG
Web:https://www.daylesford.com