素敵なデザイン、百花繚乱!
エコバッグを探すならロンドンで

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
ウェブ:http://matka-cr.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

3月23日のロックダウン宣言から3カ月強。本格的な緩和が始まり、少しだけ日常が戻ってきたような「気に」なっている…そんなロンドンです。

イギリスは欧州最大の新型コロナ感染者と死者を出している国なので、緩和は「そろりそろり」と行っている感覚がありました。しかし6月15日からソーシャルディスタンスを保つことを条件に非必須店が再開。そして7月4日からの緩和はまあまあ大胆なので、皆ちょっと心配しています。

具体的には7月4日からソーシャルディスタンスルールが2mから1mプラスとなりました。そして条件を守った上でレストラン・カフェ・パブの店内飲食が可能になり、映画館やミュージアムも再開も可能になったのです。

室内で同居人以外と会うことがずっとできなかったのですが、今回の緩和で合計3世帯までは人数を限らず室内でも会うことができるようになりました。しかし、野外での会合は世帯数を限定せず「合計6人まで」というルールです。

公園

天気が良いと、公園が自宅リビングがわりに。本を読んだり食事をしたり。パソコンを持ってきている人も多いです。皆さん、なんとな~く離れて陣取っています。

しかしここで油断は禁物。緩和が発表されてすぐに、イングランド中部の街レスターでアウトブレイクがあり、地域的ロックダウンが強化されました。

まだまだ注意しながら過ごしたいと思います。

イギリスではレジ袋は2015年から有料化

さて今回は、ロンドンのエコバッグ事情についてです。

日本では7月1日からレジ袋有料化が始まりましたが、イギリスは2015年10月から大手スーパー&小売店でのプラスチック製レジ袋が有料化されています。

もう少し具体的に言うと、イギリスでは「従業員250名以上の小売企業」はレジ袋を有料化する義務があります。つまり個人経営などの小規模店舗には有料化義務がないので、いまだに無料でくれる場合も。もらったレジ袋は皆さん大切に取っておいて、何度も再利用して使っています

義務化の前から有料化しているお店も多かったので、イギリスではもう何年も前から「買い物とエコバッグ」はセットです。ちなみに最近はレジ袋だけでなく紙袋(紙製手提げ袋も含む)も削減する方針のお店が増えています。ですので「袋ほしいですか?」と店員さんに聞かれるか、こちらから「袋ください」と言わないともらえないことが多いです。

こんな状況なので、エコバッグは生活必需品。イギリスではエコバッグのことを「エコフレンドリー・バッグ」または「ショッピングバッグ」とも言いますが、ロンドンを歩けばエコバッグに当たる!というぐらい、本当にさまざまなエコバッグが販売されています。

「エコバッグ」と一口に言っても、薄くてペラペラのコットンバッグからポリエステル製の軽くて耐久性のあるもの、そしてマチの入った比較的大きめのものまでいろいろあります。買ったりもらったりを繰り返し「家を探すとかなりのエコバッグがある」と言う人は多いようです。

最近人気のネット型。エコバッグ専門店「Turtle bags」のインスタより。

おすすめのエコバック入手場所

私はここ数年、日本への一時帰国の際にエコバッグを大量に買ってお土産にしているのですが、とても喜ばれています。毎回数カ所をはしごして買っていますが、以下、私のお気に入りエコバッグ入手場所をご紹介します。

■大手スーパーマーケット

大手スーパーでは有名どころのデザイナーやブランドとコラボ商品も多く、シーズンごとに異なるデザインを販売しています。買い物には行ったものの「エコバッグ忘れた!」というときに、「レジ袋に払うぐらいなら」とついつい手が伸びるようなデザインであることが大切なので、各社しのぎを削って開発しているようです。

<Tesco>

イギリスのスーパー最大手のTesco(テスコ)はここ数年、ファッションブランド「オーラ・カイリー」とのコラボバッグを販売しています。定期的にデザインが変わるので、すべてのデザインを集めているコレクターも多く、過去商品はプレミア付きでネット販売されているほどの人気です。

オーラ・カイリーのエコバッグは、独特のパターンと色使いが特徴です。そして型崩れしにくい素材で作られているので、床に置いても自立してくれるのも良い点です。

オーラ・カイリー1

これは私の私物ですが、6~7年前に販売されていたデザインです。現在も元気に活躍中。

オーラ・カイリー2

夏向きのパターン「Sunset Flower」。画像はTescoサイトのキャプチャ画面より © Tesco.com

オーラ・カイリー3

こちらは昨年から見かけるようになった縦長型。たっぷり入るので、とても使いやすいと評判。4.5ポンド(約600円)。画像はTescoウェブサイトのキャプチャ画面より © Tesco.com

<Waitrose>

高級スーパーとして知られるWaitroseのエコバッグは割と甘めのデザイン↓が多いのですが、

Waitrose甘め

ポップな色合いのちょい甘めのデザイン。可愛いといえば…可愛いですね。

個人的にはこちらの文字をフィーチャーしたコットンバッグ↓がお気に入りです。

Waitrose文字

エコバッグとしては比較的厚めな布なので、ペラペラ感がありません。4ポンド(約530円)。画像はWaitroseウェブサイトのキャプチャ画像より © Waitrose & Partners

たっぷりした大きさ、そしてマチもあるので使いやすいのです。昨年から見かけますが好評のようです。

■書店

大きめの書店には気の利いたグッズや文房具の品揃えも充実しているので、本を探していないときでもよくふらりと立ち寄ります。そして書店はデザイン性の高いエコバッグの宝庫だったりもするのです。

<Daunt Books>

ロンドンの書店で販売されているエコバッグの中で、たぶんもっとも有名なのはこの「Daunt book」の物だと思います。

ロンドン市内に6店舗、ロンドン外に2店舗あるチェーン店。風情のあるお店の雰囲気も人気。こちらはロンドン中心部Marylebone店の内観ですが、インスタスポットとしても知られています。

グリーンのバッグが1番有名ですが、全5色あります。

こちらのバッグ、実は日本人に大変人気です。ウェブサイトの「ギフト&バッグ」のタブが日本語表記されていることからも人気ぶりが分かります。

Daunt Bookウェブサイト

お土産用に何個も買い占める日本人を何人も見たことがあります。定番バッグは12ポンド(約1600円)。画像はDaunt Bookウェブサイトのキャプチャ画像より © Daunt Books

<Foyles>

Foylesは私がロンドンで1番好きな書店です。ロンドンのCharing Cross Roadというかつて古書街だったストリートに本店があります。広い店内とディスプレーの面白さ、そして大きなカフェもあり、いつ行っても本当に混んでいます。

2018年10月、村上春樹の「騎士団殺し」の発売日には行列が出来ました。

1階の入り口を入ったところに雑貨コーナーがあり、エコバッグも販売されています。

こちら↓が私の1押しのFoylesオリジナルのバッグです。

Foyles Eco-Cotton Red Book Tote」11.99ポンド(約1600円)。

エコバッグというより「トートバッグ」と言った方が正解かもです。しっかり厚みのあるキャンパス地で作られていて、中にいくつもポケットがあるので収納しやすいのです。

私自身このバッグを何年も愛用し、ボロボロになるまで使い込みました。何度も修繕しましたが、とうとう持ち手の部分がほどけてどうにもならなくなったので、最近さよならしたばかりです。「ロックダウンが終わったら、二代目を買いに行こう!」とずっと思っているほど気に入っています。

他にもオリジナルのバッグに加え、イギリスの老舗出版社「Penguin books」のトートバッグ等も充実しています。

こちらはペーパーバッグを持ち歩くのによさそうなサイズのオリジナルバッグ。5.99ポンド(約800円)。

■デリ・カフェ・レストラン

おしゃれなデリやカフェ、レストランなどはオリジナルグッズを出していることも多く、エコバッグもよく見かけます。

<Melrose and Morgan>

北ロンドンに2店舗直営店がある、高級デリ&食材店Melrose and Morgan。赤を基調にしたパッケージの食品が素敵なのですが、同じイメージの大きめトートも大人気です。

種類はたくさんあります。9.95ポンド(約1320円)。‘

大きさの割にはちょっと布地が薄めではあるものの、「ペラペラ」ではありません。いつも荷物が多い私のような人にとって、何でもポンポン入れられるこのサイズは魅力です。

<St. John Restaurant>

イギリス料理のレストラン2店舗に加え、ベーカリーやワイナリーを持つ有名店St. John。味のある豚のイラストを使ったグッズをいろいろ販売しています。ペラペラに見えるこのエコバッグは(ベーカリーを持っているだけに「パン専用?」かもしれませんが)まあまあ強気のお値段ですね。でもこのバッグを肩にかけたおしゃれな人をよく見かけます。

St. John

写真ではバッグの中にパンや食品が入っていますが、値段はバッグのみで9.50ポンド(約1260円)。写真はSt. John Restaurantウェブサイトのキャプチャ画像。© St. JOHN Restaurant

<Bao>

台湾風中華まん(包:バオ)の専門店Bao。2015年の開店以来順調に店舗を増やし、現在はロンドン市内に4店舗あります。バオの美味しさに加え、おしゃれな内観とイラストを使った巧みなマーケティング戦略も人気の秘密なのでしょう。

猫背でバオを食べるイラストが何とも愛嬌があります。7ポンド(約930円)

<Lyle’s>

モダンブリティッシュ・レストランLyle’sは新鮮な旬の素材を美しいプレゼンと共に提供してくれるお店。毎回行くたび・食べるたびに新しい発見があるので、本当に嬉しくなります。

オリジナルのトートバッグは無地にロゴだけのシンプルなデザインなのですが、布地に厚みがあり、使いやすい大きさです。

紺の色合いとロゴの力で見せてくれます。15ポンド(約2000円)

<Redemption Roasters>

ロンドン中心部でチェーン展開するロースター系コーヒーショップ「Redemption Roasters」。「Redemption」は「贖い」という意味。このお店は刑務所内に焙煎所を持っています。服役囚に焙煎やバリスタの訓練を行いつつ、美味しいコーヒーを提供する社会的企業です。

Redemption

白地にブルーがすっきりと浮き立つ、洗練されたデザインが素敵。5ポンド(約670円)。画像はRedemption Roastersウェブサイトのキャプチャ画像より © Redemption Roasters

■イベント(おまけ)

ここからはおまけです。いろんなイベントに参加するとノベルティとしてエコバッグがついて来たり、また仕事での参加の場合は資料(プレスパック)がエコバッグに入った状態で手渡されることがあります。

あまりによくもらうので人に何かをあげるときに、手提げ袋や包装代わりに使ったりもしています。

こちら3点は私が大事に使っているバッグです。イベントや仕事で無料でもらったものですが、使い勝手が良いので我が家で生き残っている愛用品です。

Collect

4月の当コラムで紹介したコレクター向け現代アートフェア「Collect 2020」でもらったバッグ。生地が厚く、ずっしり重い物も安心していれられます。

Established

コンテンポラリー系インテリアブランド「Established & Sons」のショールームでもらったもの。このエコバッグの絵はAlbert Terceroが同ブランドのために描いたもの。

コーヒー

毎年3月末に開催されている「London Coffee Festival」のエコバッグ。毎年同じものが使用されています。今年はロックダウンにより延期になりましたが、開催が決定したら行きたいです。このエコバッグもロンドンを歩いているとよく見かけます。

グッズを買ってお店をサポート

ロックダウン中、必須店以外の店舗は休業や縮小営業を余儀なくされたのですが、そんな中「通販で買える商品やオリジナルグッズを買ってお店をサポートしよう」という動きがありました。「少しでも好きなお店のために」と、この機会にエコバッグをはじめとしたグッズを購入した人は多かったはずです。

私はロックダウン中に、大好きな中古レコード店Banquet Recordsのエコバッグ↓を購入しました。

LPレコードがぴったり入る大きさです。3ポンド(約400円)

まだまだ紹介したいエコバッグがありすぎるのですが、あまりに多くなってしまったので今回はこの辺で。またいつか、ネタをしっかり貯めておいて第2弾をやってみたいです。

今後の緩和や終息の動きはまだ分かりませんが、当面は慎重に過ごします。そしてもう少ししたら、まずはFoylesに行って「二代目」を購入し、その足でRedemption Roastersに行ってたっぷり美味しいコーヒーが飲みたいです。そんな日が来ることを楽しみに、もうしばらくはステイホームを続けます。

みなさまもどうか、お気をつけてお過ごしください。