我が家初の大型リノベ「フローリング」全記録

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
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インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

フローリングのリノベーション過程を大公開!
前回の記事はこちらから
「我が家初の大型リノベ「フローリング」全記録 <前編>」

2日目。下地シートと板貼り作業が続く…

作業2日目。朝10時に作業開始。

この日もロンドンらしくないカーッと暑い晴天でした。搬入・搬出物が多いので、天気が良いのは好都合ですが、フラット内の気温が高くなるので(ロンドンの通常の家庭にはクーラーはありません!)、ワーカーさんたちは午前中から汗だくです。

冷蔵庫に水、アイスティー、アイスコーヒーを大量に冷やし、せっせと継ぎ足して水分補給してもらいました。

2日目は下地シート敷きとフロア板貼りの作業がドンドコ進みました。

普段あまり気付かないのですが、そういえば家の床はすべての部屋が同じ(レベル)高さになっています。どの部屋に入るときも特に段差は感じません。

廊下は元々、フロア板の下にクッション素材が敷かれ床レベルが均一化されていました。今回は敷板&下地シート&フロア板の3重構造で、他の部屋と同じ床レベルに整えます。

床がぷかぷか浮くのを防止するため、敷板に切り込みややすりをかけます。1枚何かを敷くたびに何度も足で踏んで、安定感を確認。

ラミネート製のフロア板は、エッジに溝がついているので、凹凸を合わせてはめ込んでいきます。既存の長さが合わない場所は、採寸した上で電動ノコギリでカット。サイズを合わせた上ではめ込みます。

1ミリ違うだけで隙間が開いてしまうので、慎重に採寸して1枚ずつ切っていきます。

フローリング作業は道具も素材も重いものばかりです。我が家はラミネートのフロア板ですが、本物の木材の場合はもっと重いそうです。なのでフローリング専門のワーカーさんは、力持ちで体力があることが基本。しかし見ていると細かい作業もゴマンとあります。両方兼ね備えていないと出来ない仕事なのだとつくづく思いました。

2日目はランチにも出ず、黙々と作業を進めた2人。この日でキッチン以外のフロア板敷き詰め作業がほぼ完了しました。

最後にジョージさんがキッチン床の乾き具合を確認し、「明日作業できるね」と判断。やや早めの午後4時半頃、作業を終了してワーカーさんたちは帰っていきました。

作業3日目(最終日)。キッチン&仕上げ作業

3日目、最終日。あれ? 過去2日は、親方ジョージさんとマッチョマンの2人組でしたが、ここで選手交代。マッチョマンは別の現場に行っているそうで、この日は終始笑顔のセルゲイさんがやってきました。彼もブルガリア人です。

最終日はこの2人組。親方ジョージさん(右)と、セルゲイさん(左)。

約20年ほどロンドンに暮らしていますが、ちゃんと会話したことのあるブルガリア人はこれまで2人しかいませんでした。しかし今回彼らと話し、割と近所にブルガリア食料品店があることや(ヤギのヨーグルトをおススメされました)、ロンドンのブルガリア・コミュニティーのことを知ることが出来たのは興味深かったです。

さて、この日も朝10時に作業スタート。まずは問題のキッチンから。取り除いた敷板の代わりとなるクッション材を搬入し、びっちり敷きつめ…

床レベルを廊下と合わせつつ、キャビネットの中にある洗濯機と食洗機の修理時に困らないよう、間隔をあけて配置。

その上にフロア板を敷いていきます。狭いキッチンのサイズに合わせ、フロア板を切ってはめ込みます。

キッチンキャビネットの下にはカバーがあるのですが、フロア板が入ったので、カバー板をやすりやノコギリで削って微調整。この辺はミリ単位の仕事です。

カバーをはめ込んだ状態。フロア板を入れたことでカバーが入らなくなったのですが、切ったり削ったりして調整し、パカッと収めました。

これでキッチンはほぼ完成。

次に行ったのは、ビーディングという作業です。これまでカーペットと壁の端部分は、スカーティングボード(幅木)によってカバーされていました。しかし今回フロア板になったことで、少し隙間が開いてしまいました。

こんな風に床の端に隙間ができています。

この部分に細い板「フロアビーディング」をつけてカバーする作業です。

長いフロアビーディングを適宜切って使います。

これはなかなか根気のいる作業のようでした。家の形は案外デコボコしているもの。すべての角に合わせ、細かく板を切り、角を合わせ、フロア板を設置したすべてのスカーティングボードの下を覆っていくのです。

床に面した部分すべてをぐるりとビーディングします。小さな角がたくさんあるので、採寸→切断→装着を繰り返していきます。小さな家でもこんなに凹凸があるのだなあと初めて知りました。

途中でビーディングにピンを打ち付ける機械が壊れるハプニングが! 親方ジョージさんが、近所のDIY店に走り、新機を買いに行きました。

その間にセルゲイさんが採寸と切断作業を進め、すでに作業が終わった居間の掃除をしていました。

この掃除機は我が家のものではなく、ワーカーさんたちが搬入したもの。掃除機をかけた上に拭き掃除もしてくれたので驚いてしまいました。

ジョージさんが戻ってくるまでの時間、水分補給をしてもらいつつセルゲイさんと少しだけおしゃべりしました。彼は学生時代にアメリカに留学し、一度ブルガリアに戻った後ドイツで働いていたそうです(何らかのオフィスワークだった様子)。しかし2年後「デスクワークは僕には合わない。手と体を動かし、何か作る仕事がしたい」と思うようになり、退職。ロンドンに来て、フローリング技術を働きながら学んだそうです。

「自分の手を動かして家をきれいにして、皆に喜ばれる最高の仕事だよ!」とあまりにニコニコしながら話してくれたので、ちょっと感動してしまいました。

自分の仕事をそんな風に言えるって…本当に素晴らしいなぁ(涙)。

さてジョージさんが戻ってきたので、ビーディングの打ち付け作業を再開。そして最後の最後は、2つの寝室とバスルームとの間に敷居材を埋め込む作業でした。

敷居材の幅に溝を整えて、強力ボンドで接着。

これですべての作業が完了。簡単なメンテ法などを教えてくれている間にもどんどん片付けが進みました。

機械が壊れたこともあってか、この日も2人共昼食なしで最後まで作業(お茶菓子として出したマドレーヌやポテトチップスでしのいだ様子)。彼らが我が家を後にしたのは午後6時半過ぎ。3日間で終わらせるため、最終日は長丁場でした。

最後に「またいつか!」と言って去っていきました。3日間で3名、ナイスガイたちの鮮やかな作業でした。

こちら↓が完成後すぐの居間。

彼らが去ったあと、「家具を戻す前に」と思い、一応掃除機を掛けつつ拭き掃除もしたのですが、全然汚れていないので途中で掃除をやめてしまいました。ホント、ちゃんとやってくれたワーカーさんたちでした。感謝です。

がらんどうの部屋は開放感があります。「このままにしたいなあ…」とも思いましたが、寝室に家具を詰め込んだままにしておくわけにもいかず。すぐに家具の移動&片付けをしました。

長く、猛暑の1日の後だったので片付けは面倒でした。でも「フローリング完成!」の興奮もあってか、案外すぐに終わりました。

こちら↓が移動終了後の居間です。

1番気に入っているのは、居間と廊下、キッチンの間に敷居がなくなったこと。今後ワイパーを掛けるときも簡単な上、障害物なく「スーーーーッと」進むはずです。

「敷居がない」だけでこんなに感激する自分にびっくり(笑)。

さて、おいくら掛った?

長々書いてきた我が家のフローリング大作戦ですが、今回掛った費用は約2700ポンド(約40万円、ワーカーさんへのチップ込み)でした。

※現在の通貨レートは1ポンド=約150円なのでこの計算になってしまいますが、イギリスでは1ポンド=100円の感覚で使われています。なので、現地的には27万円ぐらい掛った…という感覚です。

支払い詳細は:
●フローリング店への素材支払い:1335.86ポンド(約20万円)
●ゴミ回収:150ポンド(約2万2500円)
●ワーカーさん作業費:1140ポンド(約17万円)+チップ

初めてのことなのでリノベの相場が分からないのですが、詳細を確認する限り、ロンドンとしてはリーズナブルな値段だったように思っています。

入居後6年、やっと懸念事項が1つ解消しました。本当は2つの寝室もフローリングにしたいのですが、両部屋にはベッドが置いてあるので、解体しないとフローリング作業ができません。

いつかまたお金を貯めて、かつ頑張れそうな気持ちになったらリノベしたいと思います。それまでは、なるべく寝室で飲食せず(=こぼさず)、下にラグを敷きまくってカーペットを汚さぬように頑張ります。


超長文、最後まで読んでくださってありがとうございました!

次のコラム更新時にコロナ状況がどうなっているかどうかはまだ分かりませんが、日本で、イギリスで、世界で、少しでもコロナ終息に向かいますようにと祈っています。

そして日本の暑さのことも心配しています。どうか皆様、ご自愛ください。