全面緩和したロンドン。ブリクストン地区にあるマーケットを散策!

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
ウェブ:http://matka-cr.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

※記事内容は2021年8月1日時点の情報によるものです。

7月前半に熱波が到来していましたが、また涼しい日が続いているロンドンです。

6月前半と7月頭に暑い日が続きました。

イングランドはコロナ規制が全面緩和

※イギリスは現在、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドが各々独自のコロナ規制&対策を進めています。この記事は、私が暮らすイングランドについての情報です。

3月から少しずつ、段階的にコロナ規制を解除してきたイングランド。7月19日にすべてのソーシャルディスタンスの法的規制が撤廃されました。

これまで「屋内店舗に入る際はマスク必着」「飲食店やサービス業はルールに従って営業する」等、さまざまなルールがありました。これが一部を除き基本は「任意」となり、今後は大規模イベント等も開催可能になります。

7月19日は「#FreedomDay (フリーダムディ)」と命名され、コロナ禍での節目の日になった…のですが、私は正直ちょっと不安でした。なぜなら最終緩和の実施が発表された日(7月12日)の感染状況はこんな感じ↓で、感染が上昇中だったからです。

全面緩和を発表した記者会見より。BBC iPlayerのキャプチャ画面。オレンジ色が昨年秋、青が7月12日の状況を示したグラフです。昨年秋と比較し、入院者数のグラフはやや穏やか。そして死者数はかなり穏やかな上昇ですが、感染者数は昨年秋とまったく同じ線を描いて上昇していました。

「もう少し緩和を待った方が良いのでは?」の声も多く聞かれる中、ワクチン接種率の高さと、ワクチン効果が数値的にハッキリ見えていることからイングランドは7月19日に最終緩和に踏み切りました。

フリーダムディ以降、ガーンと感染が上がるのでは?と恐怖だったのですが、その後驚くことに感染が下がり始めました。現在はこんな感じです。

イギリス政府のコロナ情報サイトのキャプ画面より、2021年8月1日現在の情報。感染者数が、下限に転じています。

現在、ワクチンが若い人にも行き渡っていることが理由のようですが、今後さらなる情報が待たれます。このまま下がってほしいと願うばかりです。

7月19日後、街はどうなった?

私が暮らすエリアを見ている限りは、以前とあまり変わらない様子です。季節が変わったこともあり、野外でマスクをしている人は減っていますが、屋内に入る場合は各所、独自のルールを用いて感染対策をしています。

こちらはフリーダムディ後の近所のパブの様子です。これまでは店内でも「着席&アプリ経由」でしか注文ができなかったのですが、以前のようにカウンターサービスが復活していました。

マスク着用は必須ではなくなっていましたが、アクリル板の前に立つことを推奨されています。スタッフはマスク着用者とそうでない人、両方いました。

こちらは小さな本屋さんの店内。「できればマスクを着用してください」と書かれた張り紙がありました。

スーパーの店内ではスタッフの多くがマスクやシールドを着用。客はマスクなしでも入店できますが、私が住んでいるエリアでは、店内にいる8割ぐらいの人がまだマスクをしています。

マスク率だけでは分からないですが、思ったほど「フリーダム!」と感じている人は少ないのかな?という印象です。しかしこれは居住エリアによって差があるとも言われています。

では他のエリアはどうなのだろう?と思い、先日、完全緩和後初めて電車に乗り、ロンドン中心部からやや南にある「Brixton(ブリクストン)」地区へ行ってみました。

ロンドン市長のTwitterより。ロンドン交通局は現在も「乗車中はマスク必須」のルールを導入しています。この方が安心です。

ごちゃまぜ感が楽しい!「Brixton」のアーケード

Brixtonには大きなマーケットエリアがあり、また昔から移民が多く暮らすマルチエスニックな街として知られています。駅を出るとすぐに八百屋、肉屋、魚屋が立ち並ぶストリートがあり…

下町感がある商店街です。

その奥にアーケードになっている「Brixton Village & Market Row」があります。

↓色鮮やかなアフリカンプリントやアフリカ系小物を売るお店や…

アフリカンプリントのスカートやバッグ、夏の間に挑戦したいです。

↓穀物、豆類、スパイスが充実しているエスニック食材店、

どうやって調理してよいのか一見では分からないのがまた楽しいのです。

その間におしゃれ系の雑貨店や飲食店がある、その雑多っぷりが楽しい場所なのです。

4月に開店したばかりの、量り売り&ゼロ・ウェイストのスキンケア雑貨店「Weight and Pay」。こうした量り売りのお店がどんどん増えています。

日本のお好み焼き屋さんも大盛況。

この日は天気がいまいちだったこともあり、人出はほどほど。ソーシャルディスタンスは思った以上に保たれていました。

コロナ対策は各店の判断で

どの飲食店もコロナ対策に引き続き注意を払っている様子が見えました。しかし「注意している点」はお店ごとに異なります。例えばこちらのタップルーム。

客が入れ替わるたびにテーブルや椅子を徹底消毒し、グラスもバイオプラスチック製のものを使い捨てにしていました。しかし店員はマスクをしている人・していない人、両方がいました。

アーケード内の歩道と店外スペースは「屋外扱い」なこともあり、歩いている一般客もマスク着用者は少ない印象です。

飲食以外での店内マスク着用率は半分ぐらい。「着用必須」でない場所では、着用していない人も多いのです。

コロナ禍以前、マスクをしたことがなかった人も多かったイギリス。マスクよりワクチン接種率が高いことで「守られている」と感じている人は多いようです。

やっといけた(涙)!「Salon」でランチ

今回Brixtonに来た「わたくし的ハイライト」は、アーケード内にあるモダンブリティッシュ・レストラン「Salon」でのランチでした。2013年のオープン以来、斬新でスタイリッシュな料理を出すことで知られています。「緩和したら行きたい!」とずっと思っていましたが、やっと念願叶って行くことができました。

ランチ営業は店内の窓際席(窓は現在開放中)と屋外席のみ。1階の幅が狭いエリアのテーブル席は使用していませんでした。2階席はディナーのみの営業です。

2階席は窓のロゴが印象的。オープンキッチンになっています。

ランチもディナーもセットメニューでの営業なので、今回は8皿30ポンド(+サービス料)のランチメニューを食べました。30ポンドは現地感覚では3000円程度(現在のレートでは4500円)。贅沢なランチです。

でもプレゼン力があるだけでなく、1つ1つ考えられたメニューはお値段以上でした。かつ量もたっぷり! 

最初に出てきたメロンの冷静スープ。甘くて、少ししょっぱくて、チラリとたらしたオリーブオイルが程よく聞いています。左後ろに見えるのは、ポテトとクリームのコロッケ。揚げたて熱々でした。

スープの後の前菜。サーモンと赤カブ、ブラーダチーズと完熟桃、サワードゥブレッドと発酵バター。量は2人前です。

とろ~りキャラメリゼされた玉ねぎのタルト。くるみのクリームをつけていただきます。

お酒で煮たアプリコットとさくさくのハチの巣が添えられたアイスクリーム。しっかり食べた後のさっぱり感が嬉しい一品。

ロックダウン中はテイクアウトで頑張っていたこのお店。生き残ってくれて本当に嬉しいです。

マーケット内は少しずつ活気に戻りつつあるようでした。しかし活気と人混みはセットなので、この辺が難しいところです。

イギリスは現在感染が下がってきているとはいえ、今後どうなるかはまだ分かりません。「ワクチン頼み」なところがあるので、今後、ワクチン効果の持続性やブースターワクチンの開始などの進捗が待たれます。

現在の予定では、冬になる前に50歳以上の人を対象にブースターワクチン接種が行われるそうです。

まだ「ポストコロナ」というには早い時期ですが、でも、少しだけ…ですが、「コロナが終わっていくかもしれない」という希望を感じるこの頃です。

皆様も、どうか引き続きお気をつけてお過ごしください。また来月お目に掛かります!