寒い日に食べたい!種類豊富なスープ in the UK

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
ウェブ:http://matka-cr.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

※記事内容は2022年1月29日時点の情報によるものです。

どんより曇り空、寒い日が続くロンドンです。

家の近所の散歩道にて。昼過ぎなのですが、太陽の存在が全く感じられません。

私は冬が大好きなので、どんよりとした曇り空を見ると落ち着きます。でもイギリス人は「ない物ねだり」でひたすら太陽を求めるので、同じ空を見てため息をついている人が多いはずです。

まずはコロナ近況から

前回イギリスの「Withコロナ」近況について書きましたが、感染者数の減少を受け、1月27日にイングランドのコロナルールが緩和しました。12月からオミクロン株の感染拡大対策として導入された規制「Plan B」が撤廃され、具体的には:

*在宅勤務推奨→出勤してもOK
*指定各所でのマスク着用義務→義務ではなくなる
*大規模イベント参加時にワクチン証明提出→提出無用

となりました。

確かに感染者数が激減していますが、それでも…たくさんいることには変わりありません。

イギリス政府コロナ情報サイト(1月28日最終更新)のキャプチャ画面。感染者数は8万人台ですが、もう5桁台では誰も驚きません…。

「この状態で緩和していいの?」と多くの人が思っていることもあり、ルールは緩和したものの、街の様子が大幅に変わることはなさそうです。

例えばロンドンの場合、公共交通機関でのマスク着用義務は残りました。

カーン・ロンドン市長のこの決断は有難かったです。安心して地下鉄に乗れます。

また大手スーパーやデパートも次々にアナウンスを出し、「来店時にはマスクを着用してください」という姿勢を見せています。

在宅勤務については「推奨」ではなくなりましたが、「今すぐ週5出勤すべき」ということではありません。各社ルールは異なりますが、現在のところ週1~3回ぐらいから「お試し出勤」とし、半年~1年掛けて今後の方針を考える…としている会社が多いです。

ジェネレーションY世代の多くが「週5勤務を強要されたら転職する」と回答している、という調査結果。気持ち、分かります。

現在のところ、被雇用者側は「出勤日は少ない方が良い」という意見が多いようですが、さてどうなるか。引き続き注目しています。

意外!? イギリスはスープの種類が豊富で美味しい!

さて、今回は「イギリスのスープ」についてご紹介したいと思います。

イギリス人は暖かいスープを本当によく食べます。スープの種類も豊富で、とても美味しいのです。最近日本でよく聞く「冷え取り」という概念はイギリスにはありませんが、根菜、ハーブ、スパイス、ニンニク等、体が温まりそうな素材が入ったスープも多いので、「イギリス人はスープで冷え取りしているのかも」と個人的には思っています。

スープとパンがあれば、立派な食事です。

ちょっと余談ですが…イギリスは「食べ物がマズイ国」として知られていますよね。しかし約20年暮らしている私としては「全然そんなことないのにな…」と、この点についてはイギリスにかなり肩入れしています。確かに「吟味しないとビックリするほどマズイものにも出会う」こともあるのは…本当です(笑)。でも「美味しいものがどこにあるか」の嗅覚さえ体得すれば、本当に美味しいものに出会える国でもあるのです。

冬にはスープを売る屋台をよく見かけます。凍える中、熱々のスープはたまらなく美味しいものです。

スープの話に戻りますが、この国に来て「スープは【飲む】ものではなく、【食べるもの】」だと知りました。もちろんコンソメスープのようなさらっとしたスープもあるのですが、家庭で愛されているスープは、どっしり重めの「食べがい」があるスープです。日本でいう「シチュー」や「ポタージュ」に近い感じです。

スーパーでも何種類ものスープが容器に入って売られています。こちらはチキンスープとミネストローネです。

「イギリスの代表的なスープとは?」と聞かれると種類が多すぎて困るのですが、ぱっと思い浮かぶものだけでも、
*ブロッコリーとスティルトンチーズとのスープ
*ハムとグリンピースのスープ
*じゃがいもとリーク(ポロネギ)のスープ
*レンズ豆のスープ
*ミネストローネ
*鶏肉と野菜のスープ
*鶏肉のクリームスープ
*トマトスープ
*マッシュルームのクリームスープ
*ニンジンとパクチー(コリアンダー)のスープ
*チリビーンズのスープ
*バターナッツかぼちゃのスープ
*オックステイルのスープ
*ビーツ(赤カブ)のスープ
…と枚挙にいとまがありません。

豆を使ったスープは多いです。こちらはレンズ豆のスープ。レンズ豆はすぐに煮えるので、手軽に使えます。

ニンジンとパクチー!? それってアリ?(←アリです)

名前を見るだけでどんな味か想像がつくスープも多いと思いますが、「ニンジンとパクチーのスープ」は、「そんな組み合わせ、アリ?」と思うかもしれません。

簡単に言えばニンジン、タマネギ、パクチーを煮たものにクミンで風味をつけ、ブレンダーで攪拌して滑らかにしたスープです。

↓シェフのウォーレン・ナッツさんが作り方を分かりやすく解説した動画です。

Central England Co-operative のYouTubeチャンネルより。見ているだけでも作り方は分かりますが、日本語字幕(自動作成)を付けるとより分かりやすいと思います。

最初に食べたときは「ニンジンとパクチーを一緒に煮る」という発想に驚きましたが、ニンジンの甘さにパクチーのフレッシュ感がよく合います。

パクチーはイギリスでもよく食べる食材です。八百屋さんに行くと、大きな1束が1ポンド(150円)程度で売られています。

また話しが少し横道にそれますが、イギリスでは「甘味のある野菜にフレッシュハーブを合わせる」料理が好きなようです。例えばミントで風味付けしたグリーンピースもよく食べます。肉料理の添えもの野菜として人気です。

イギリス在住者なら誰でも知っているチキン料理のお店「Nando’s」のInstagramより。チキンに添えるサイドディッシュを数種類から選べるシステムですが、「Peas with mint(ミントであえたグリンピース)」は定番の1つです。

こってり濃厚!冬に絶対美味しい「ブロッコリーとスティルトンチーズのスープ」

私の一押しのイギリスのスープは、ブロッコリーとイギリス産のブルーチーズ「スティルトンチーズ」で作るスープです。

↓こちらがスティルトンチーズです。

包みをあけると強烈な匂いがします。好きな人にとっては「たまらなく良い匂い」です。

ロックフォール(フランス)、ゴルゴンゾーラ(イタリア)と共に、世界三大ブルーチーズの1つと言われています。イギリスではどのスーパーでも販売されている、ごく一般的なチーズです。

とても簡単に作れるのに、濃厚で複雑な味が楽しめるスープなのでよく作っています。スティルトンチーズは青カビチーズであれば何でも代用可能です。ぜひ皆さんもお試しください。

<ブロッコリーとスティルトンチーズのスープ>
【材料】

◆野菜類:すべてサイコロ大に切っておく
ブロッコリー:1株
玉ねぎ:1個
リーク(長ネギ):1本
じゃがいも1個(またはカリフラワー1/2個※)
セロリ:1本

◆ニンニク(みじん切り):2片
◆バター:1片
◆コンソメキューブ:1個
◆塩・コショウ:少々
◆スティルトンチーズ:150g程度(皮部分は入れない)
◆生クリーム:150ml(お好みの量でOK)

※じゃがいもで作る場合が多いですが、カリフラワーでも美味しく作れます。今回はカリフラワーで作りました。糖質制限ダイエットをしている人にはカリフラワーの方が良いと思います。

【作り方】
① バター1片を鍋に入れ、みじん切りしたニンニクを炒める。
② ニンニクの香りがでてきたら、サイコロ大に切った野菜全部、鍋の深さ1/3までひたる程度の水、塩・コショウ少々、コンソメキューブを入れ、鍋にフタをして弱火で煮る。

②の段階では野菜はこんなに山盛りですが…

③ 野菜の量が半分ぐらいになり、柔らかくなったら火を止め、スティルトンチーズを砕いていれる。

くたくたに煮えると、野菜は半分ぐらいの分量に。ここにスティルトンを砕いていれてください。チーズはすぐに柔らかくなり、溶け始めます。

④ ブレンダーで③を攪拌し、好みの滑らかさにする。

⑤ 生クリームを入れてよく混ぜる。味見をし、塩味が足らなければ塩を入れ、好みの塩加減にしてできあがり!

スティルトンチーズはとても塩辛いので、②の段階での塩・コショウは控えめにしてください。最後に塩加減を調整した方が、失敗することなく好みの味に美味しく作れます。

フライドオニオンを上にトッピングして食べました。クルトンやクラッカーを砕いたものをのせても美味しいです。

カリカリに焼いたバゲッドやトーストを添えるとさらにご馳走になります。またワインにも合うスープです。

そして何より、体が本当に温まります!

そろそろ誰かに会いたい…。

オミクロン株の完成拡大もありずっと静かに過ごしていましたが、友人と話していると「そろそろ、出かけたい」「久々に会いましょうよ」という声も聞かれるようになりました。

まだまだ寒いので、開放的な気持ちで外に遊びに行くという感じでもないのですが、私自身、「そろそろ友人と一緒に外食したり、パブに行ったりしたいな」等、社交を復活したい気持ちが強まっています。

そろそろ友人たちとパブに行って「サンデーロースト」を食べたいです。

マスク着用はもちろんですが引き続き気を付けて行動し、こまめに検査もしつつ、まだもう少し続く冬を何とか乗り切りたいです。

日本の状況も、毎日確認しつつ心配しています。皆様もどうかご自愛ください。