“リアル” IDを取得しました

宮原亜矢 
ロサンゼルス在住ライター。ラジオ、雑誌、テレビ、ウェブなど様々な媒体で洋楽(主にロック)を紹介。2000年代前半から毎年1−2回は欧米のフェスやコンサートに足を運び、フォトグラファーを兼任することも。2011年から拠点をロサンゼルスに移すと、米中西部出身のアメリカ人と砂漠で出逢って国際結婚、コンテンポラリーアートを紹介する業務にも着手するなど良い意味で想定外の人生を歩むことに。様々な面で文化の壁、言葉の壁にぶつかりながらもLife Is Beautifulを実感している。 
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ロサンゼルスは6月15日からビジネスのフルオープンが許可されて、やっと街にも活気が戻ってきました。つまり、ディズニーランドもフルオープン!暑さを凌ぐためのプールも解禁!!クラブには入場を求めて若者が長蛇の列を作り、大人数を集めてのウェディング・パーティーも開かれています。

とはいえ、コロナ変異株の感染者の数が少しずつ増えていることもあり、今の自由はいつまで続くのか、そんな話も語られることもしばしばです。それまでに行けるところに足を伸ばしてアクティヴに楽しみたい!そんな人々が街中に溢れていますが、アメリカ国内を空の旅でエンジョイするには今後欠かせない“リアルID”なるものを私この度取得致しましたので今回はそちらについてご紹介しようと思います。

リアルIDとは?

このリアルIDというのは、2001年に発生した9.11 NY同時多発テロをきっかけに、偽造免許証や不法入国者の排除を目的に制定された、「正当な身分証明法(リアルID法)」という法律の施行に併せて発行されるものです。日本とは違い、運転免許証を発行しているのは連邦政府ではなく州なので、2005年に成立したものの個人情報漏洩の恐れや財政負担を理由に導入を反対する州政府もあったりして、施行が延期され続けて来たのが現状です。なお、以下の話は私の暮らすカリフォルニア州に関する更新情報になります。

リアルID(上)とリアル ID準拠ではない免許証の違いはほとんど変わりませんが、カード右上に違いが。リアルIDにはカリフォルニア州のシンボルである熊(厳密にはグリズリーベア)と、星のマークが描かれ、準拠でないものには「FEDERAL LIMITS APPLY(連邦政府の制限が適用される」と記載されることになります。

ちなみにこのリアルIDは米国市民や永住権を持つ移民、各種ビザを持つ合法的な外国人居住者が取得可能。このカードの提示を求められるのは米国内線航空機搭乗や、米軍基地、連邦政府施設、原子力発電所に出入りする場合などとなっています。今まで米国市民や合法的な外国人居住者などが国内線の飛行機に搭乗する際、運転免許証を提示すればよかったのですが、施行されると今までの運転免許証ではIDとして認められず、パスポートなどを携行する必要が出てくるのです。ということで私もリアルID取らなきゃ!と昨年焦っていました。

パンデミックの影響で最終期限が延期、追加措置も

私の周りでは徐々にリアルIDへの切り替えを済ませた人が増えてきたので免許証の更新時期は2021年だったものの、2020年9月30日までの取得を目指して昨年からオンラインで更新を試みていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で陸運局の対応が普段よりも時間がかかるため、免許の更新時期まで申請は待つようにとのこと。実はこのリアルIDの試行期限、当初は2020年9月30日が最終期限(デッドライン)で、翌10月1日から施行、提示が求められる予定でしたが、デッドラインを2023年5月3日に大幅延長することを発表しました。

しかも、2021年末まで一定の対象者に対して無料でリアルIDへの切り替えを行うことを発表したんですよね。まぁカリフォルニアの運転免許証の更新は38ドルなので大きな金額ではないのですが、それでもちょっと羨ましい!この背景にはリアルIDへの切り替えには通常の免許更新ではオンラインで完結するのに対し、カリフォルニア州陸運局(DMV)のオフィスへ向かう必要があります。このDMVのオフィスというのが酷い時には2−3時間もの間待たされることもあってDMVといえばこちらに住む人なら少なからずため息を漏らす場所。そんなこともあるからでしょうか。2020年3月〜2021年7月にリアルID準拠ではない運転免許証とIDの数は実は約570万件に上ったそうです。私もこのパンデミックの中なので免許更新もいっそのことリアルID準拠ではないものにしてオンラインで済ませてしまおうかと思ったのですが、リアルID申請の予約を取ってDMVオフィスに行くことにしました。

見事なオペレーションでネガティブな印象が一掃!

私が足を運んだのは3月。予約時間に合わせてオフィスに向かうと、コロナ感染拡大防止のための入場制限のため、長蛇の列が。あぁやはり2−3時間はかかるのかしら、とため息をついていると…ちょっと様子が違いました。

実は列が2種類存在していました。
オフィスのスタッフに「コンファメーションコードは持ってきましたか?」の問いにイエスと答えた私の並ぶ列と、ノーと答えた人々の列=つまり予約なしのウォークインの人たち。予め予約をしていた私の列はどんどん進んでいきます。オフィス入り口の目の前になるとコンファメーションコードの書かれたプリント用紙をスタッフに渡すと、緑の小さな用紙に呼び出しナンバーが書かれたものを添えて返され、あっという間にオフィスの中へと促されました。

中は6フィートのソーシャルディスタンスが保たれた椅子に腰掛けて順番を待つ人が10数名。以前のDMVであれば文字通りごった返していたのですが、油断するのはまだまだ早い。今までのDMVであればここからが勝負。さて、読書でもしながら待とうかなと思っていたのですが…裏切られました。

なんとどんどん人が呼び出され、処理が進んでいきます。

そして私の順番もあっという間に!ウソでしょ!?あの悪評高きDMVが!!

呼び出された窓口で本人確認などを行った後、天井から吊るされた A B Cのボードから指定されたものを答えるというなんとも簡単な視力検査を経て、写真撮影のためのセクションへと促されました。そちらも私の前に待っていたのはたった1人だけ。

写真撮影をサクッと終えて「IDは2−3週間で届きますよ」と言われてオフィスを出るまで20分足らず。あっけないほどスピーディーに終わってなんだかキツネにつままれた気分。

2023年5月にドヤ顔でリアルIDを提示してアメリカ国内の空の旅を楽しめる日を楽しみに待ちたいと思います。