サンタモニカの駅に20ものアートギャラリーが集結するBergamot Station Arts Center。人気日本人画家、前田萌子さんのライブペイントもご紹介します

宮原亜矢 
ロサンゼルス在住ライター。ラジオ、雑誌、テレビ、ウェブなど様々な媒体で洋楽(主にロック)を紹介。2000年代前半から毎年1−2回は欧米のフェスやコンサートに足を運び、フォトグラファーを兼任することも。2011年から拠点をロサンゼルスに移すと、米中西部出身のアメリカ人と砂漠で出逢って国際結婚、コンテンポラリーアートを紹介する業務にも着手するなど良い意味で想定外の人生を歩むことに。様々な面で文化の壁、言葉の壁にぶつかりながらもLife Is Beautifulを実感している。 
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アメリカでアートシーンを垣間見たいということであればニューヨークに次いでロサンゼルスはまさに要チェックな場所です。
街中にはストリートアートが溢れ、美術館やアートギャラリーもあちこちに点在。現役の有名アーティストが拠点を構え、画家を目指す人々も大勢暮らしています。物価上昇にため息の漏れる今日この頃ではありますが、無料で楽しめるところも多いロサンゼルスの美術館やアートギャラリーの展覧会はローカルの人々にも人気が高いんです。

ただ、多くの人にとってロサンゼルスのアート散歩は車移動が不可欠というイメージがあります。というのもロサンゼルスでギャラリーなどが集まっているエリアがビバリーヒルズ、カルバーシティ、ダウンタウンと点在しているからで、もっと一度にまとめてアートを楽しめないものかしらと思っていたところ、実は30年もの歴史を持つアートセンターがサンタモニカにあることに気づいたのは本当にここ数年前の話。しかも駅の目の前にあるという、車を持たない人にも好立地な場所!

ということで今回はそんなアートファンならぜひ一度は訪れたいBergamot Station Arts Centerを歩いてみました。その中の1つのギャラリーで人気を集める日本人コンテンポラリーアーティスト、前田萌子さんがライブペインティングイベントを行っていたのでそちらの模様も併せてご紹介します。

Bergamot Station Arts Centerとは?

同センターのホームページによれば、この場所は元々サンタモニカ市がライトレールの乗り場として買い上げたものの計画が頓挫。サンタモニカ市から代わりに芸術的な利用法を考えてほしいと依頼を受けたデベロッパー兼Shoshana Wayne Galleryの共同オーナー、ウェイン・ブランク氏が、約5エーカーにも及ぶ複合施設として1994年9月にオープンしたとのこと。近年ロサンゼルスは深刻化している渋滞問題緩和のために公共交通機関を拡大すべくメトロの新たなラインや駅を作っているのですが、2016年5月にエクスポラインが開通。同センターに隣接する26th Street/Bergamot Station Arts Center駅も動き出してより多くのアートファンに注目されるようになりました。
このセンターには約20の老舗・新興ギャラリーが集まり、世界各国から注目アーティストの作品や選りすぐりのファインアートを楽しめる場所となっています。

こちらが26th Street/Bergamot Station Arts Center駅。サンタモニカのような観光地だと少し頭を抱えるのが駐車場だったりしますが、車で行っても潤沢な無料パーキングスペースが。パーキングメーターの時間切れや料金を気にせず心ゆくまでアート探訪することが出来ます

私が足を運んだ日はSpring Fillingと題されたイベントを行っていて、多くのギャラリーが出展アーティストを迎えたイベントを行ったりしていたのですが、DJブースも設置され、ランチタイムを楽しく演出してくれていました

そんな中、ギャラリー前のスペースで大きなキャンバスにライヴペインティングをしていたのは、ロサンゼルス在住の人気コンテンポラリーアーティスト、前田萌子さん。

今回の作品は彼女が見た力強い夢をベースに、第1〜3チャクラ*をベースにした作品にしたもの。「黒い、マグマの様なエネルギーが体の中に入ってきて、体の中に入っていた石のようなものを一気に洗い流してくれた。その後に、虹色のような様な無数の光が体から離れて行ったんです。浄化されているなと(感じた)。それからエネルギーがとてもすごくて1週間ほど眠れなくなってしまったんです。(夢を見た時に)とても大きくて力強い声で、「己の火山口の蓋を開いて道を創る」と聞こえて、「うわぁ」と驚いた後、マグマがドロドローっと流れて行ったんです。その夢がきっかけで、この作品はファーストチャクラとセカンドチャクラとサードチャクラをベースにした作品にしたくて」と語ってくれた萌子さん。作品を見る人がすべてのチャクラを開いて、自分の心の中の中に滞るマグマのようなものを燃やしてもらいたいといった願いを込めて描いたのだそうです

前田萌子さん

萌子さんの使用する絵の具には草木、天然塩など自然の素材をふんだんに取り入れているエシカルなスタイルも今の時代にあっていてとても素敵。ライブペインティングでは大きなキャンバスの上をゆっくりと移動しながら祈りを捧げ、大きな瓶に頭部を沈めて滴った長髪を絵筆に見立てて描いて行きます。その一つ一つの所作がとても神聖で美しく、まるでその場にいる人々の心の中の膿や淀みをやさしく包んで洗い流してくれるかのようでした。

他にも面白い作品に目が止まりましたのでご紹介しますね。

同じくSpeedy Galleryから、日本人アーティスト、Masakoさんの作品。隣の女性と比べてもらえればその大きさは歴然!ギャラリストの方に話を伺ったら、Masakoさんご本人が来廊中に直接壁に描いたのだとか。躍動感がたまりません!

Richard Heller Galleryで展示されていた日本人アーティスト、矢部ひろすけさんの彫刻作品

アカデミー賞で2度のメイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞のカズ・ヒロさんによるジミ・ヘンドリクスの作品をCopro Galleryで発見!近くで見ると産毛の1本1本まで再現されていてその精細な仕事に驚かされます

この日は特別にサンフランシスコ発の抹茶マシン、空禅抹茶が出店。カリフォルニアでもmatchaと呼ばれてすっかりお馴染みの抹茶をラテなどでオーダーする人の列が途絶えることがありませんでした

私が訪問した時は休憩中なのか準備中だったのか演奏していませんでしたが、バンドの生演奏も

お土産やギフトにもぴったりな雑貨を扱うショップも。さすがアートセンターの雑貨屋さん。アート性の高いアイテムが揃っていて楽しい!

いかがでしたか?
海外から沢山の旅行者が訪れ、観光スポットとしての活況を戻しつつあるロサンゼルス。その一方で深刻なインフラで物価高に頭を抱える部分はありますが、そんな時こそお金をかけずに芸術で心を満たすことのできるBergamot Station Arts Centerは地元の人にも観光客にもおすすめのスポットです。こちらを訪れた後、車で10分ほど走らせてサンタモニカの埠頭やビーチに行き、サンセットを眺めるのもまた素敵ですよ。

*チャクラ:人間のエネルギーの中枢。人体に6−7個あるとも言われるこのチャクラが回転することで生命エネルギーが循環していると言われている。
(引用元)コトバンクhttps://kotobank.jp/word/チャクラ-566714

Bergamot Station Arts Center
https://bergamotstation.com
https://www.instagram.com/bergamotsantamonica/
Address: 2525 Michigan Avenue, Santa Monica, CA 90404
メトロ(電車):Expo E Lineでthe 26th Street/Bergamotで下車してすぐ目の前。営業時間はギャラリーによって異なります。
前田萌子/Moeko Maeda
Website: https://speedyshop.jp/collections/前田萌子
Instagram: https://www.instagram.com/moekomaeda/