日本や韓国で食べたピザが食べたくて —ある韓国系アメリカ人女性がダウンタウンにオープンした話題のピザレストラン!

宮原亜矢 
ロサンゼルス在住ライター。ラジオ、雑誌、テレビ、ウェブなど様々な媒体で洋楽(主にロック)を紹介。2000年代前半から毎年1−2回は欧米のフェスやコンサートに足を運び、フォトグラファーを兼任することも。2011年から拠点をロサンゼルスに移すと、米中西部出身のアメリカ人と砂漠で出逢って国際結婚、コンテンポラリーアートを紹介する業務にも着手するなど良い意味で想定外の人生を歩むことに。様々な面で文化の壁、言葉の壁にぶつかりながらもLife Is Beautifulを実感している。 
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ピザはもはやアメリカンファストフード!

カリフォルニア観光の醍醐味のひとつといえばグルメ。マクドナルドやバーガーキングなどの世界的バーガーチェーン発祥の地なので、もちろんハンバーガーは欠かせないし、メキシコ系移民が多いことからメキシコ料理もバリエーション豊富で、正直言って日本で食べるよりも美味しいし、オーガニック料理やヴィーガン料理などもトレンドを発信していることでも知られます。多民族な地域なのでジャパニーズ、チャイニーズ、コリアン、フレンチ、イタリアン、タイ、ベトナミーズなどの料理もあちこちで楽しめますが、特にイタリアン、なかでもピザはアメリカ人の生活には欠かせないといっても過言ではないフード。みなさんも映画やコマーシャル、カートゥーンのなどで大きなサイズのペパロニピザを目にしたことがありますよね? ピザは宅配も$10以下でオーダー出来るし街中のデリでは大きな1切れが$1で買えちゃうことも。また、NYピザ、シカゴピザなどご当地ものがあるほどアメリカの生活には欠かせません。

この画像はあくまで極端な例ですが(笑)、アメリカではこんな風にピザを食べ歩く人も珍しくありません

街ブラで運命の出逢い!

でも…日本で生まれ育った私は、日本で食べた、もちもちでジューシーかつ口の中に入れたら溶けちゃうくらいのクラフトピザが好き!でもそんなピザを食べられるお店を見つけるのは簡単ではないんです。ある日お腹を空かせた私は観光名所となっているグランド・セントラル・マーケット(*こちらはいずれ特集します!)へ向かって歩いていた所、たまたま目に飛び込んで来たのがこのお店の看板だったんです。

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文字通り吸い寄せられるように入った店内は、ファストフードのような気軽さとレストランの清潔感やしっかりとした佇まいの両方を兼ね備えていて、サーバーの給仕は必要ないけれども出来立ての美味しいものが食べたい!という私のニーズにピッタリとマッチ。しかも、12インチ(約24センチ)のピザで、マリナーラで$11、ペパロニ$12、4種のチーズを一度に楽しめるクアトロ・フォルマッジですら$14というお手頃プライス。さらに、黒トリュフや生モッツアレラ、生ハムが乗ったタルフート$18に、ポルチーニ茸やオイスターマッシュルームなどが乗ったMr.ポルチーニ$15と、とにかくリーズナブル。そして本格的な窯もある!そしてその前にはいかにも美味しいピザを焼いてくれそうなシェフが。

レジで注文を終えると手早く生地を広げ、ソースとトッピングの下準備を済ませたシェフ、ホゼさんが軽やかに私のピザを窯の中へ。

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出来上がったマルゲリータがこちら。私の撮影技術が残念ですが、外周はクリスピーなのに程よい空気が入ってふんわりとした食感。内側のトマトソースソースとモッツアレラチーズがジューシーで口に運んだ瞬間、滑り込むように入って行く。まさにヘブンリーなピザ!ファストフード感覚でウォークインしたピザ屋さんへの期待値300%超えです!

普段は2切れ食べれば飽きてしまう性質の私ですが、なんとほぼ完食(8切れ中7切れ!)してしまったほど。すっかりこのお店の虜になってしまったのは言うまでもありません。残念なのは私が近所に住んでいないこと位。近所なら毎週通うレベルです。

オーナーは日本語ペラペラの韓国系アメリカ人

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PIZZA NAPOLITAのオーナー、グレイスさん(写真右)と彼女の娘さん

「日本人の方ですか?」とレジにいた女性から日本語で突然話しかけられ驚いた私。そんな彼女Grace Parkさんはこのお店のオーナー。韓国生まれの彼女はフルートの勉強で桐朋学園大学に約2年半通っていたことがあり、流暢な日本語を話す。その後アメリカのユースオーケストラに誘われたことをきっかけに渡米。以降、アメリカで過程を築いて現在は4人のお子さんを持っている彼女は、約25年子育てに集中していたけれど、末っ子たち(双子)の大学進学を機に以前から思っていたお店を持つことを行動に移したとのこと。

「時々こういうピザが食べたいけど、(食べられるお店が)ないんですよ。だから(このお店を)オープンしました。韓国にいた頃もこうピザを食べていたんです。アメリカに来てからもピザを食べていたのですが、あんまり美味しくなくて(笑)、だけど仕方がないから食べていたんです。イタリアにはこういうピザが沢山あるのに、ダウンタウンをかなりリサーチしてもこういうピザを出しているお店がダウンタウンになかったんです。だから自分でお店を出そうと思って」

欲しいものは自分で掴む。そんな彼女の行動力が素晴らしい!思い立ってから約2年かけてこのお店をオープンしたそうですが、どうしてもオープンしたかった場所が歴史的なビルディングの一角のため消防法が厳しく、ピザ釜の設置に苦労したとのこと。高温だけどこの建物の消防法をパス出来る窯を探してイタリアから輸入したそうです。

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美味しさを支える技術、設備、そしてこだわり

シェフのJose Barriosさんはメキシコ出身。ロサンゼルスでシェフとして働き始めてやがてナポリピザ職人のマスター資格取得のため、1999年から幾度かナポリに滞在して修行。2012年にはピザで3位に入ったほどの実力者。そんな彼が作る本格的なピザは、生地の小麦粉はイタリアからの直送した丁寧に発酵させ、ホセさん手作りのモッツアレラチーズなどこだわりの材料と、イタリアから輸入した窯で華氏900度(摂氏482度)以上の高温でスピーディー(2分以下!)に焼き上げるので、10分ほどじっくり時間をかけるオールドスクールな方法とは違い、水分を保ちつつクリスピーさを実現できる。

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窯内の温度。華氏932=摂氏500度!

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焼きたてのピザとシェフのJoseさん。焼きたてのピザを自ら客席まで運んでくれます

「アメリカのピザとは違う、私達のジューシーでソフトなピザに馴染みがなくて最初は敬遠するアメリカの人達も初めて見たら「何だこれ!?なんでこんなに水っぽいんだ?」と言うのですが、一度食べると「すごくおいしい!」とハマって何度も足を運んでくれるようになるんです」と語るGraceさんとJoseさん。

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見るからに瑞々しいピザの数々!

アジアでお馴染みの本格的なスタイルをアメリカでも楽しみたい

「このスタイルは日本、韓国、香港といった場所ではすっかりおなじみですよね」と語るGraceさん。自分が食べたかったからと始めたこのピザをロサンゼルスに住む日本人、そして日本からの観光客にもぜひ食べてもらいたいのだそう。ダウンタウンを歩いて小腹が空いたらぜひ立ち寄ってほしいオススメのお店です。そして、Graceさんがレジに立っていたら日本語で話しかけてみてくださいね。ピザのこと、彼女がこだわって選んだ安くて美味しいワインの話、ロサンゼルスの話からもちろん日本のことなど、美味しいピザに舌鼓を打ちながら、きっと話に花が咲くに違いありません。

PIZZA NAPOLITA
アドレス:541 S Spring St. #112, Los Angeles, CA90013
     *スプリング・アーケイド・ビル 1F
電話:+1(213) 266 – 8801
営業時間:月-日11:30AM – 10PM
HP:https://www.pizzanapolita.com
Instagram:@pizzanapolita